アゼルバイジャン、停戦協定の履行と武装解除を目的に対テロ作戦開始を発表

アゼルバイジャン国防省は、19日に「三ヶ国間声明の条項履行を確実にし、カラバフ経済地域における大規模な挑発行為を抑制し、アルメニア軍事組織の武装解除と撤退を実現するため対テロ作戦を開始した」と発表しました。現地では、大規模な砲撃が始まったという報告もあります。

停戦協定の履行も主権や統治の受け入れも進まないため、アゼルバイジャンが強行手段に出た可能性がある

アゼルバイジャン国防省は、19日に「三ヶ国間声明の条項履行を確実にし、カラバフ経済地域における大規模な挑発行為を抑制し、アゼルバイジャン領からのアルメニア軍事組織の武装解除と撤退を実現するため、現地で対テロ作戦を開始した」と発表しました。アルツァフ共和国(ナゴルノ・カラバフ地域)のルーベン・ヴァルダニャン元国務相によると、「大規模な砲撃が始まった」と報告されています。

三ヶ国間声明の条項履行とは、2020年の停戦協定に盛り込まれた「ザンゲズール回廊=ナヒチェヴァン自治共和国とアゼルバイジャン本領を繋ぐ交通手段の建設」を指しています。アゼルバイジャン領からのアルメニア軍事組織の武装解除と撤退は、「アルツァフ共和国軍の解体」という意味である可能性が高く、アゼルバイジャンの主権や統治を受け入れないアルツァフ共和国が9日に大統領選挙を強行し、アゼルバイジャン側はこれを「極めて挑発的な行為だ」と反発しました。

同様の問題を抱えるウクライナも、アルツァフ共和国の大統領選挙について「アゼルバイジャン領で実施されたナゴルノ・カラバフ地域の大統領選挙を非難する。この選挙は国際法の規範と原則に反しているため、結果は無効だ」と述べており、EUも「大統領選挙を実施した憲法及び法的枠組みを承認していない」として、選挙結果を認めていません。停戦協定の履行も主権や統治の受け入れも進まないため、アゼルバイジャンが強行手段に出た可能性がありますが、まだ状況は明確ではありません。

出典:Google Map 管理人作成(クリックで拡大可能)

追記:コジャリでアルツァフ共和国軍の防空システムが破壊される映像、ステパナケルトでアルツァフ共和国軍の電子戦部隊が攻撃を受ける映像が登場しました。攻撃が行われた詳細な位置は不明です。

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※アイキャッチ画像の出典:President.az/CC BY 4.0

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