イラン沖ホルムズ海峡でのタンカー護衛を目的に米国が有志連合の結成を各国に呼びかける中、日本は即答をためらっている。大阪大教授の坂元一哉氏、双日総合研究所チーフエコノミストの吉崎達彦氏、国家基本問題研究所主任研究員の湯浅博氏(本紙客員論説委員)は緊急座談会「ホルムズ海峡と日米同盟の行方」で日本が進むべき針路を提示した。3氏は、連合の構成やイラン情勢を見極めつつ、日本の艦船を守るため自衛隊派遣に踏み切るべきだと一致。ただし、米イラン間の紛争回避のためにイランとのパイプを生かした外交努力も強調した。
坂元氏は、岩屋毅防衛相が当初から「自衛隊派遣のニーズは確認されていない」と消極姿勢を示したことを「責任感をもって、これから何ができるか考えます、と言わなければならなかった」と指摘した。「日本は日米同盟を使って守るのが基本姿勢」と述べた。
坂元氏は「1、2カ月は考える時間がある」とし、財政支援や人、艦船派遣を含めて可能なあらゆる選択肢の検討を急ぐべきだと強調した。
吉崎氏は「エネルギーは地政学、国家の問題」とした上で「基本はジャパン・ファースト(日本第一)で考えるべきだ。自国の船を自国で守れよ、というトランプ大統領の意向でもある。だからショー・ザ・フラッグ、日の丸を出す必要がある」と指摘。自衛隊法の海上警備行動などを念頭に艦船派遣を主張した。
湯浅氏は「東日本大震災以降の原発停止で、ホルムズ海峡を通過するタンカー(への依存)が増えている。海峡が封鎖されれば、日本の経済動脈が止まり、(集団的自衛権が行使できる)存立危機事態になるのではないか」と指摘。「日本の国益のためにも戦争はしてほしくない。米国の国力が疲弊し、中国の戦略的好機になる」とし、紛争回避へ首脳によるシャトル外交の重要性も強調した。