宇都宮ライトレール、日本初の全線新設LRTに「課題」

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「雷都」とも呼ばれる栃木県の宇都宮市で、次世代型路面電車(LRT)が誕生しました。その名も「宇都宮ライトレール」、通称「ライトライン」です。この「ライトライン」は、日本初の全線新設LRTとして2023年8月26日に開業しました。マイカーからの移行が進んで脱炭素化に一役買うと期待されていますが、欧米のLRTとの運営方法の違いが「課題」となっています。

「宇都宮ライトレール」とは?

宇都宮駅東口(宇都宮市)と芳賀・高根沢工業団地(栃木県芳賀町)の間を結ぶ次世代型路面電車(LRT)の路線が、「宇都宮ライトレール」と呼ばれています。この事業には約684億円の費用がかかり、半分は国の補助金で賄われています。残りの負担は宇都宮市、芳賀町、栃木県が負担しています。

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「宇都宮ライトレール」は、宇都宮市と芳賀町が設備を保有し、宇都宮市や芳賀町、関東自動車などが出資する第三セクター企業「宇都宮ライトレール」が運行しています。この路線では、電車同士が行き違うことができる複線が全線に設けられており、低床式車両「HU300形」(定員160人)が新潟トランシスによって製造されています。

日本の路面電車の過去とLRTの再評価

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日本の路面電車は、1932年には全国で65都市で走っており、路線総延長は約1500キロに達していました。しかし、第二次世界大戦後にマイカーが普及し、自動車による交通渋滞が問題となると、当初は交通手段の一環として期待されていた路面電車は「邪魔者」として扱われるようになりました。特に1950年代後半から1970年代にかけて、路面電車の廃止が相次ぎ、2000年代初めには路線総延長が約200キロにまで縮小されてしまいました。

しかし、欧米では利便性が高く、環境負荷の低減にもつながる公共交通機関として路面電車が再評価されるようになりました。その中でも注目されたのが、欧州やカナダ、米国などで整備が進んだLRTです。

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LRT(Light Rail Transit)とは、都市内の交通を担う公共交通機関の一つで、鉄道やトロリーバスといった軌道上の公共交通機関とバスの中間に位置します。LRTは、大量輸送を行う地下鉄よりも小規模で、一方で道路交通やバスよりも速く、利便性の高い交通手段として注目されています。

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宇都宮ライトレールの車両「ライトライン」の内部=2023年8月21日、宇都宮市

欧米では、LRTを導入することで都市部の渋滞緩和や環境負荷の低減を図っています。また、路線沿いのまちづくりや観光振興にも貢献しています。日本でも「宇都宮ライトレール」をはじめ、富山や熊本などでLRTの導入が進んでおり、都市の発展に寄与する交通手段として期待されています。

宇都宮市の「宇都宮ライトレール」は、地域の魅力を活かし、便利で快適な交通手段として多くの人々に利用されることでしょう。

Source link: 日本ニュース24時間