京アニ公判 「では青葉さんも罪になるんですね」被告を沈黙させた裁判員の疑問

煙を上げて燃える京都アニメーション第1スタジオ=令和元年7月18日、京都市伏見区(本社ヘリから)

令和元年7月、京都アニメーション放火殺人事件で青葉真司被告(45)が殺人罪などに問われた裁判員裁判。その第10回公判が27日に京都地裁で開かれ、証人尋問が行われる予定です。事件発生時に現場で目撃した人々が証言する見通しで、これまでの公判では被告に対する質問が繰り返されました。中でもある裁判員が投げかけた質問「青葉さんも罪になるんですね」という一言によって法廷は沈黙に包まれました。

「記憶にない」連発

被告は25日の公判で、検察側からの質問に対して「記憶にない」と繰り返しました。被告は訪れる前日に隣人と騒音トラブルを起こし、「失うものは何もない」と発言していたことが明らかになりました。しかし、弁護人に真意を問われた際には「その記憶はなかった」と主張し、事件当日に包丁を持ってスタジオに入ったことや「死ね」と叫んだことについても「記憶にない」と述べました。

裁判官や裁判員から被告に対して繰り返し質問が行われました。自身の作品が盗用されたと主張する被告は、自身の作品が京アニ大賞に応募しても落選したことを明かしました。また、抗議するための合法的な手続きを通してどのように行動するかについても問われましたが、被告は「はなから相談などは考えていなかった」と答えました。

「やってやった」感情乏しい

京アニ放火殺人事件で36人が犠牲となった被告は、これまでの公判で、青森県弘前市で起きた強盗放火殺人事件を参考にしたことを明かしています。被告は京アニの被害者数について「(亡くなるのは)8人ぐらいではないか」と考えていたと話しました。

質問は被告の犯行動機に移りました。検察側は「筋違いの恨みによる復讐」と指摘していますが、裁判官は被告に対して「京アニに作品を盗まれたことへの恨みはまだありますか」と問いました。被告は「『やってやった』という感情がもう少し生まれると思ったが、悩むこともある」と答えました。

沈黙の被告

この事件ではアニメ制作に関係のない人々も犠牲となりました。公判では、入社1年目の娘を亡くした母親が、被告が盗作された後に娘が入社したことを訴えています。

ある裁判員の男性が被告に対して「京アニの従業員の中にはいろいろな業種がある。青葉さんはそれを知ろうとしなかったのですか」と問いました。被告は言葉に詰まりながらも、「至らない部分があり、努力が必要でした」と答えました。

被告はこのような質問に対して沈黙することが多く、裁判員の疑問に答えることができませんでした。


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