アルメニアの議会法務委員会は、国際刑事裁判所(ICC)に加盟するための法案を可決し、本会議に送付しました。アルメニアの同盟国であるロシアは、このICCへの加盟が容認できないとしてアルメニアに警告しています。
もしアルメニアがICCに加盟すれば、アゼルバイジャンとの係争地である「ナゴルノカラバフ自治州」を巡る紛争を背景に、ロシアとアルメニアの関係がさらに悪化する可能性が高まります。
アルメニアは、自治州から避難したアルメニア系住民が7万8千人に達したことを発表しました。アゼルバイジャンが実施した軍事行動の結果、アゼルバイジャンが自治州を実効支配し、迫害を恐れた住民が脱出を余儀なくされています。
アルメニアは以前から、アゼルバイジャンの戦争犯罪を追及するためにICCへの加盟を検討していました。アルメニアの憲法裁判所は、昨年末にICCへの加盟が合憲であるとの判断を下しました。これにより、議会は加盟の可否を審議してきました。今後、法務委員会に続いて本会議でも加盟が承認される見通しです。
一方、ロシア外務省は、アルメニアに対して加盟を見送るよう警告し、「両国関係に最大の悪影響を与える」と述べました。
アルメニアは、2020年秋に起きたアゼルバイジャンとの大規模衝突の際、アルメニア側の敗北を容認する形でロシアへの不満を募らせました。最近、アルメニアのパシニャン首相は対露同盟関係の見直しを何度も言及しており、露主導の軍事演習への参加を見送り、代わりに米国との合同演習を実施しました。
さらに、アゼルバイジャンの軍事行動が起きた際にも、アルメニアはロシアの介入を批判しました。これに対し、ロシアはパシニャン首相の言動に強い不快感を示しています。ロシアのラブロフ外相は、アルメニアについて「米国に依存しようとする政治家が多いが、米国がそうした国をどう扱ったか直近の歴史をよく考えるべきだ」と述べ、アルメニアを威圧する発言をしました。
アルメニアがICCに加盟することで、対露関係が一層悪化する可能性があります。この件については、今後の展開が注目されます。