「身勝手な利用者が増えて」――無料の空気入れサービスをやめた自転車店のSNSに反響 実情を聞いた

自転車空気入れ

自転車店で提供されていた無料の空気入れサービスが取りやめられたことが話題となっています。利用者の不適切な行動が増えたため、店舗側がこの決断に至ったようです。今回は、その実情を取材しました。

無料サービスの終了に反響

自転車店「ちいさな自転車家」は、愛知県名古屋市にあるお店です。これまで店内スタッフが無料で空気を注入し、ポンプを貸し出していましたが、9月25日に「当面の間終了」を告知しました。

最終の投稿を見ると、その理由は非常識な利用者の行動によるものでした。売り物の空気入れを勝手に開封し使用された痕跡が見つかったそうです。「無料であるからといって、そういうことではないはず…」と、自転車店は考えたのです。

また、他の理由として「貸し出したポンプが1週間もたない」といった要素もあり、店舗は無料サービスを停止しました。「自転車を購入した人」「お年寄り」「子どもを乗せた電動アシスト自転車のお母さん」のみを対象にサービスを提供することになりました。

店舗では、これらの経緯を掲示しています。SNSでも同様の説明をしたところ、広く拡散されました。リプライには「このようなサービスを当たり前に思ってはならない」「勝手に使われるなんて信じられない」といった同情の声や、有料化の提案、「愚痴っぽく理由を書くのはスマートではない」といった苦言など、さまざまな意見が寄せられました。

この反響について、「ちいさな自転車家」に取材しました。

空気入れが壊されることはよくあったのか

自転車店「ちいさな自転車家」:数えていませんが、10本以上は壊されたと思います。利用頻度が高いため、耐久力を超える負荷に耐えることは難しいです。また、空気入れの使い方がわからない方もいましたが、スタッフの手が回りきらないため、メーカーが公開している動画をQRコードにしてポスターに表示しました。また、自転車の空気注入口には英式、米式、仏式の3種類があり、それぞれのやり方をイラストで説明しています。

SNS上での注意喚起の理由は?

自転車店「ちいさな自転車家」:正直、深く考えていませんでした。私たちにとってSNSはお店の情報発信手段の一つとして考えており、お店の変化や来店予定のお客様への事前告知、お店の情報公開などに利用していました。

ただ、今回の件に関しては「なぜ終了したのかを知ってもらいたい」と考えました。反響の中で、「お客様に説教するのはどうか」「理由を書くべきではない」「見る人が不快に思う」といった意見もありました。しかし、私たちの考えは、サービスが突然終了する場合、理由を示すべきだと思います。私は説教ではなく、単に事実を書いただけだと思っています。説教と感じる人はむしろ、「何か後ろめたいことがあるのでは?」と考えるのかもしれません。

同様に、「不快に感じる」という意見も同じです。お客様が不快感を感じるような行動を、私たちサービス業のスタッフも不快に感じています。イジメ問題と同じで、被害を受けた側が我慢するという構図は本当に適切なのでしょうか。

特に学校とは異なり、売り手と買い手では売り手の立場が弱いことが多いです。理不尽な要求をする人の多くは、その力関係を理解している上で理不尽な要求を押し付けてきます。最近ではブラック企業が問題視されており、サービス業界でもお客様自身がブラック企業を推進していることが多いと感じています。

SNS上での反響についてどう感じましたか

自転車店「ちいさな自転車家」:私たちのお店は小さなお店で、多くのフォロワーもいなかったので、とても驚いています。同時に、多くの方に関心を持っていただき、とてもありがたく思います。皆さんに近くの自転車屋やサービスを利用する際に、一度「利用する側」として考えていただければ幸いです。

有料化での再開の可能性はあるのでしょうか

自転車店「ちいさな自転車家」:このサービスを終了することは本当に苦渋の決断でした。お客様と気軽にコミュニケーションが取れるのは私たちにとって励みになることもあります。既に何人かのお客様からは「有料でも良いから」といった声もいただいています。今すぐに再開するわけではありませんが、スタッフと相談しながら新たな形で再開できたらいいなと思っています。ただ、ポンプの貸し出しはもう行わないと思います(笑)。

協力・画像提供:ちいさな自転車家

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