都市部のバス路線、運転手不足で廃止や減便…地域の公共交通に影響

バスの運転手不足が全国的に深刻化し、都市部でもバス会社が路線の廃止や減便を余儀なくされています。運転手不足は「2024年問題」の労働時間規制強化を控え、ますます深刻化しており、地域の公共交通網を維持するための対策が求められています。

バス運転者数の減少

国土交通省のデータによると、2021年度のバスの運転者数は約11万6000人で、2012年度から1万3000人以上も減少しています。また、平均年齢は53.4歳(2022年)であり、今後も大量の退職が予想されています。

「日本バス協会」によると、今年行われた調査では、現在の路線網を維持した場合、2024年には2万1000人、2030年には3万6000人の運転手が不足すると予測されています。協会は労働条件の改善や女性の採用などを進めていますが、「より一層の減便や廃止が避けられない」としています。

バス路線の廃止と減便

バス会社は、利用者減少による赤字経営が続いており、多くの会社が経営難に直面しています。国交省の調査によると、21年度に30台以上の車両を保有するバス会社の94%が赤字だったとのことです。さらに、運転手の年間所得は全産業平均よりも約2割低く、採用難が続いています。

具体的な事例として、富田林市など4市町村で路線バスを運行していた金剛自動車は、運転手の離職や応募不足により、全15路線を廃止すると発表しました。同様に、広島市でも広島バスや広島電鉄など7社が運転手不足と「2024年問題」への対策を理由に減便を実施しています。

地域の公共交通への影響

バスの廃止や減便は地域の公共交通に大きな影響を及ぼしています。特に住宅地から路線バスが消えると、通勤や生活に大きな負担がかかることになります。例えば、大阪府河南町の会社員男性(25)は、「住宅地から路線バスが消えるなんて考えたこともなかった。駅まで歩くと1時間以上かかり、住みにくくなる」と不安を抱えています。

地域の公共交通網を維持するためには、自治体やバス会社、運転手不足を補う他の業者が協力して取り組む必要があります。近鉄バスなど一部の企業は、自治体が経費を負担する「コミュニティーバス」方式を利用して路線運行を請け負う考えを示していますが、財政上の制約もあるため、一部の地域では運行本数の維持が困難な状況です。

日本ニュース24時間は今後も、このような社会問題について取り上げ、最新情報を提供していきます。

Image

参照リンク: 日本ニュース24時間