スロバキアの選挙結果がゼレンスキー大統領に圧力をかける可能性、と米紙が指摘

ニューヨーク・タイムズ紙によると、スロバキアの選挙結果がウクライナ大統領のゼレンスキー氏に圧力をかける可能性があると報じられています。というのも、ウクライナと国境を接する国が「弾薬を一発も送らない」と発言した候補者に投票したことは、トランプ元大統領の復帰やポーランドの選挙結果にとっても頭の痛い問題だからです。

2024年以降も戦い続けるためには新しい支援が必要かもしれない

スロバキアの選挙結果は予想通りの展開ではありましたが、「SMER」という党の勝利は欧米諸国で深刻な懸念を引き起こしています。ニューヨーク・タイムズ紙によると、「弾薬を一発も送らない」と発言した候補者に投票したことは、ウクライナ大統領のゼレンスキー氏に圧力をかける可能性があると指摘されています。この問題は、トランプ元大統領のホワイトハウス帰還やポーランドの選挙結果にとっても頭の痛い問題です。

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(出典:Quirinale.it)

スロバキアは歴史的にロシアへの同情的感情を持つ国であり、現時点ではフィツォ元首相(SMERの党首)がどのような政権を作るのかは不明ですが、現実主義に傾く可能性もあるとされています。しかし、スロバキアの選挙結果は、ウクライナ支援に拠出する資金を国内投資に回すべきだという無言の圧力が欧米で強まっている現れであり、米国でも下院の共和党が訪米したゼレンスキー大統領との会談を拒絶し、ウクライナ支援に対するホワイトハウスとのギャップが表面化していると報じられています。

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(出典:Kremlin.ru / CC BY 4.0)

今年3月の世論調査によると、スロバキアの51%が「戦争の主な原因は西側諸国やウクライナにある」と回答したことや、大量のウクライナ人難民の流入に対する不安、EUに対する小国の不満、ロシアに対する同情的な感情をフィツォ元首相が巧みに利用したとされています。スロバキア、ハンガリー、セルビアがプーチン大統領に対する同調を示しているため、中欧での潮目は変わりつつあるとも指摘されています。

また、ウクライナの熱烈な支持者であり、150万人以上の難民を受け入れてきたポーランドもウクライナ産穀物の輸入を禁止し、最近の両国関係はぎくしゃくしていると報じられています。さらに、選挙を控える与党のPiSは強烈な民族主義政党であり、「反ロシア」を堅持していますが、ナショナリズムや保守的な価値観はオルバン首相やフィツォ元首相に近いものです。PiSが選挙に勝利すれば、欧州の結束をさらに弱体化させる可能性もあるとされています。このような状況から、欧州では「ポーランドがEUから離脱するのではないか」という突飛な噂も囁かれており、それは戦争が助長した緊張の高まりを示唆するものとされています。

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(出典:PRESIDENT OF UKRAINE)

以上がニューヨーク・タイムズ紙が主張した内容の要約であり、欧米の政治的立場は「ロシアが侵略を開始したのだからウクライナを支援するのは当然だ」という考えだけでは推し量れない事情や思惑が存在していることを示しています。ウクライナが2024年以降も戦い続けるには、新しい政治的な支援を結束させる必要があるかもしれません。

なお、記事内のアイキャッチ画像はウクライナ大統領のものです。

参考リンク: 日本ニュース24時間