ポーランド新政権の行方、ドゥダ大統領は法と正義に政権樹立を命じる

10月に行われたポーランドの選挙で、最多の票を獲得しながらも下院の過半数を失った「法と正義(PiS)」に対し、ドゥダ大統領が新政権の樹立を命じました。

選挙後もポーランドとウクライナの関係はぎくしゃくしたまま

選挙後、トゥスク党首率いる市民連合は「PiSを権力から排除し、野党と連携して新政権を樹立する」と主張していましたが、ドゥダ大統領はPiSのモラヴィエツキ首相に政権樹立を命じました。

出典:Kancelaria Prezydenta
出典:Kancelaria Prezydenta

ドゥダ大統領は「選挙で過半数を獲得した政党はなく、法と正義と市民連合が新政権樹立に意欲を示していましたが、冷静な分析と協議の結果、PiSのモラヴィエツキ首相に新政権の樹立を命じました。私は選挙で最も多くの票を獲得した政党が「政権樹立の機会を得る」という議会の伝統を継承することにしました。」と発表しました。一方、モラヴィエツキ首相は「大統領から託された政権樹立は困難な使命ですが、引き受ける義務があります。連立政権の成立は一部の野党代表者にかかっています。」と述べ、政権樹立に向けて努力する意向を示しました。

PiSが新政権を樹立できるかどうかはまだわかりませんが、もし失敗した場合はトゥスク党首に「政権樹立のチャンス」が回る可能性があります。そのため、モラヴィエツキ首相とトゥスク党首のどちらが政権を射止めるのかは、他の野党(第3の道、新左派、同盟)の動向次第と言えるでしょう。

ポーランドとウクライナの関係には未解決の問題が存在

ウクライナはポーランドとの関係においても、未解決の問題を抱えています。ポーランドはウクライナ人の働く許可取得を免除する措置を決定しましたが、ヤブロンスキー外務次官は「ヴォルィーニの悲劇で死亡したポーランド人遺骨の発掘問題が解決しない限り、ウクライナはEU加盟を夢見ることは出来ない。同問題の解決なくしてウクライナとの長期的な和解はあり得ないことを断固として強調する。」と述べました。

出典:Jwdys/CC BY-SA 4.0 ヴォルィーニの悲劇を追悼する行進
出典:Jwdys/CC BY-SA 4.0 ヴォルィーニの悲劇を追悼する行進

これに加え、ハンガリーも「ウクライナ西部に住むハンガリー人約8万人の扱い」を理由にウクライナのEU加盟を阻止する姿勢を見せており、欧州諸国は「ウクライナのEU加盟は相当厳しい」と考えています。

ポーランドとウクライナの関係改善にはまだ課題が山積していますが、両国の長期的な和解と共存に向けて、解決策を模索し続ける必要があります。

※アイキャッチ画像の出典:Serwis Rzeczypospolitej Polskiej

ソースリンク:日本ニュース24時間