侵攻587日目、ウクライナ支援は変化の兆し

ウクライナとロシアの戦いは587日目に入りますが、最近では「決定的な動き」が見られない状況です。しかし、ウクライナ支援に関する環境には大きな変化が起こっており、EU外相会議の参加者たちはこれが将来起こりうる出来事の前兆かもしれないと心配しています。

欧米のウクライナ支援は変化の兆し

ウクライナ支援を取り巻く環境には大きな変化があります。アメリカの下院は連邦政府機関の閉鎖を回避するため、ウクライナ支援資金の60億ドルを除外する「つなぎ予算(短期資金調達法案)」を成立させました。また、スロバキアでは「もうウクライナに1発の弾薬も送らない」と宣言していた政党が選挙に勝利し、ポーランドでもウクライナとの対立が深まっています。さらに、英国や欧州でも変化が見られます。

出典:UK Ministry of Defence

8月末に辞任した英国国防相のウォレス氏は、「これまでに計46億ポンド(2022年と2023年にそれぞれ23億ポンドずつ)の支援をウクライナに約束したが、もう英国は欧州最大の支援国ではなくなっており、その地位はドイツのものになっている。そのため、辞任前にウクライナ支援の増額(最低でも23億ポンド=約4,000億円)を首相に要請した」と明かしました。しかし、英国軍関係者は「もう支援できるモノが残っていない」と述べました。

出典:bundesregierung

フィナンシャル・タイムズ紙によると、フランスとドイツの政策上の相違やマクロン大統領とショルツ首相の相性の悪さから、EUの重要政策に関する決定に遅れが生じているとのことです。EU外相会議もウクライナ支援を表明する場として開催されましたが、実際にはウクライナの存続に関する疑問が支配していたようです。

欧米の支援は機能不全に陥りつつある

EUはウクライナを財政的に支えるため、加盟国に「4年間の追加融資パッケージ」を提案しています。しかし、多くの加盟国はこの資金の一部が財政支援とは関係ない要素に使われることに反対しています。また、ハンガリーのオルバン首相はハンガリー向けの資金支援がブロックされる限り、EUの予算増額には応じないと主張しています。このため、EUの予算増額は難航しています。

出典:President.gov.ua/CC BY 4.0

EU外務・安全保障政策上級代表のボレル氏は加盟国に対して、「ウクライナへ軍事支援を提供するため200億ユーロ(年間50億ユーロ×4年)の資金確保したい」と訴えています。しかし、ハンガリーの同意が必要なため、実現の可能性は不透明です。さらに、スロバキアの新政権も「もうウクライナに1発の弾薬も送らない」と公約しており、全会一致のプロセスは更に複雑になるでしょう。

出典:European Parliament/CC BY-NC-ND 2.0 DEED

結論

ウクライナ支援に関する環境は大きく変化しているものの、欧米の支援は機能不全に陥りつつあります。EUはウクライナに追加の融資パッケージを提案しているものの、加盟国の意見の相違や予算増額に関するトラブルが続いています。また、アメリカの支援もウクライナ政府の汚職対策に依存しており、目標達成が見込めなければ支援が危機に晒されるでしょう。

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