最近、全国各地でPFAS（有機フッ素化合物）による飲み水の汚染が問題化しています。これまで日本では、「医学的な評価は定まっていない」といった理由から、人々の不安は募る一方でした。しかし、最新の研究により、PFASが人体に与える影響が明らかになってきました。アメリカでは、その毒性を重く見て規制値案を厳しくする方針を打ち出しており、日本でも同様の調査が求められています。
原因は「泡消火剤」全米の基地で汚染
アメリカでPFAS汚染が広がった原因の一つは、軍が使用してきた泡消火剤です。アメリカ国防総省によると、全米600近くの基地で汚染が広がっているとされています。取材班が向かったのは、アメリカ最南端のフロリダ州。美しいビーチのすぐそばに3つの基地が隣接しています。2018年の国防総省の報告書によると、パトリック空軍基地の井戸からは、1リットルあたり430万ナノグラムのPFASが検出されたとのことです。
がんに罹患したのは26歳の時
この街で生まれ育ったステル・ベイリーさんは、驚くべき事実を明かしました。彼女自身が26歳の時にがんに罹患し、弟もがんと診断され、父親と叔父をがんで亡くしたのです。彼女は「私は髪を失った時のことをよく覚えています。多くの痛みを感じ、多くの涙を流し、眠れない夜が多くありました」と振り返ります。幼い2人の子供を残して死ぬわけにはいかないという思いから、彼女は抗がん剤治療に耐えながら、家族に起こった異変について調べ始めました。
PFASを含む井戸水を飲んでいた
「私たちの家族は、かつて市の水道から供給される水ではなく、井戸からの水を飲んでいました。それが430万ナノグラムのPFASを含む水だったのです」とステルさんは語ります。彼女の家族が罹患したのは血液のがんであり、PFASとの関連性を示すエビデンスがあるのは腎臓がんや乳がん、精巣がんです。
私と同じ思いをさせないように…
立証が難しいのならば、自らの手で真実をつかむと考えたステルさんは、環境団体「Fight For ZARO（ファイト・フォー・ゼロ）」を立ち上げました。彼女のオフィスには闘病中に愛用していたウィッグが並んでいます。それを見て自分を奮い立たせていると、ステルさんは笑顔を見せます。「私はこの闘いに参加するとき、人々に言います。『それはとても厳しく、険しいものです』と。だから、いつも活動の原点に立ち返ります。私の原点は、子どもたち。子どもたちに私と同じ思いをさせないよう乗り越えていきます」と彼女は語ります。
この問題について日本でも真摯に向き合う必要があります。私たちの安全な飲み水を守るためにも、調査が求められています。
ソースリンク: 日本ニュース24時間
