今年のノーベル平和賞の受賞者として注目を浴びた、イランの女性人権活動家、ナルゲス・モハンマディ氏(51)が、今もイランで収監されていることはご存知でしょうか。イランの保守的な政治体制下では、人権活動は非常に厳しい取り締まりの対象となっていますが、それでもモハンマディ氏は、獄中から闘いを続けています。
モハンマディ氏の信念と闘い
「私は未来を見続けている。たとえ刑務所の壁が高く、目の前で視界をふさいでいようとも」とモハンマディ氏は語りました。何度も逮捕され、刑務所での生活を送りながらも、彼女の信念は揺るがないのです。
生い立ちが彼女の闘いに大きな影響を与えました。彼女の家族は政治活動に熱心であり、それが彼女自身の人権活動へとつながっていったのです。特に9歳の時に、テレビで母親が視聴していた死刑執行の光景を目の当たりにしたことは、彼女にとって大きな転機となりました。その刻もの印象が彼女を死刑廃止運動へと駆り立てました。
闘いの始まり
彼女の具体的な活動は、テヘランの大学で物理学を専攻していた頃から始まりました。彼女は女性の登山グループや市民団体を結成し、人権活動を開始しました。そして、その活動を通じて出会ったのが、後に夫となる活動家のタギ・ラフマニ氏でした。
彼女は卒業後もエンジニアとして働きながら、女性の権利擁護や死刑廃止を求める市民活動に情熱を注ぎました。さらに、新聞などでもコラムを執筆し、人権活動団体「人権擁護センター」(DHRC)の副所長に就任しました。
厳しい現実と闘い
しかし、イランという保守的な国で女性の権利擁護活動を行うことは容易ではありませんでした。モハンマディ氏はこれまでに13回以上逮捕され、計31年の禁錮刑と154回のむち打ち刑を言い渡されました。彼女は長期間の獄中生活により健康を損なっていますが、適切な治療を受けられていないという指摘もあります。
それでも彼女は獄中でも人権活動を続けてきました。座り込みやSNSへの投稿などで、女性の権利向上や刑務所での暴行・拷問の告発を行ってきました。彼女は「イランはイスラム神政国家から脱しようとしている。変化は一気に起こらない。長く大変な道のりだが、変化が起ころうとしているのは明らかだ」と訴えています。
未来への希望と勇気
彼女は双子の男女の母親でもありますが、獄中生活の長期化により、子供たちとのコミュニケーションはほとんどありません。それでも彼女は毎日窓辺に座り、自由なイランを夢見続けています。「彼ら(当局)が私を罰し、私から多くのものを奪うほど、民主主義と自由のために闘う覚悟が固まっていく」と語っているのです。
モハンマディ氏の闘いはまだ終わっていません。彼女はSNSを通じて、「イランは抗議者に恐怖心を染み込ませるため、路上や刑務所で若者たちを殺害した。だが、彼らの墓は『力』や『抗議者の強さ』の象徴となった」と訴え、勝利が近いことを感じています。
モハンマディ氏の闘いと信念は、多くの人々に勇気と希望を与えています。私たちも彼女の闘いを応援し、世界中で人権が守られる社会の実現を目指しましょう。
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