年内解散なければ「岸田降ろし」新たな政局スタートか 甘くない自民党、菅義偉氏が一気に不出馬に追い込まれたのが良い例

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解散・総選挙に向けて岸田首相は難しい決断を迫られる

背景にある「憶測」

岸田文雄首相は経済対策を実施するための2023年度補正予算案を10月20日召集の臨時国会に提出する方針を明言しました。補正予算案提出は通常のペースだと11月中旬ごろです。その後に解散するとすれば、来年度予算編成に支障をきたし、来年の予算審議にも影響が出てしまいます。通常は、年内解散は「ない」ということになるのですが、与野党双方とも解散への警戒感を解いていないようです。なぜなのでしょうか。

どうやら、ある「憶測」が背景にあるようです。それは「解散しなければ、政権はじり貧になる。だから岸田首相は『解散しかない』と考えているはずだ」というものです。

解散しなければじり貧になる理由

なぜ、解散しなければじり貧になるとみられているのでしょうか。最大の理由は、このタイミングを逃すと、向こう1年にわたって、事実上、解散権が行使できなくなることです。

例えば、来年1月の通常国会冒頭や、予算成立後の4月は、来年度予算とその執行に不可欠な予算関連法を成立させないままの解散となります。実務上、不可能だというわけです。

通常国会会期末の6月解散も難しいでしょう。自民党総裁の任期切れを3カ月後に控え、再選されるかどうかわからない立場で「国民の信」を問う資格があるのかとの議論が生じます。逆に言えば、「岸田首相が総裁選で再選するための解散」との批判にもなります。

結局、岸田首相が解散権を取り戻すのは、総裁選で再選を果たした来年10月以降ということになりますが、解散権を封じられた政権の求心力は低下するのが世の道理なのです。

ポスト岸田となり得る候補

「ポスト岸田」となり得る候補がいないことから、総選挙敗北のリスクを避けた方が総裁再選にとって「得策」との見方もあります。ただし、自民党は信を得ないまま支持率が低迷する総裁を再選させるほど甘くはありません。

一昨年、菅義偉氏が万全の体制で総裁再選を目指していたにもかかわらず、当時は閣外で党幹部ポストからも外れていた岸田首相の立候補表明を契機に、一気に不出馬に追い込まれたのが良い例です。「因果応報」とばかりに、今度は岸田首相が追い落とされる側になるかもしれません。

岸田首相自身がどう考えているかは不明です。「先送りできない課題に『一意専心』で取り組む」と判で押したような答えを繰り返すばかりです。それが一層、「憶測」を呼ぶ形になっています。

結論

はたして、岸田首相は本当に解散に打って出るのでしょうか。もし年内解散がなければ、来年の総裁選に向けた「新たな政局」がスタートすることになります。〝ポスト岸田〟をめぐる政局、さらに言えば〝岸田降ろし〟政局と言っても過言ではないかもしれません。

どちらを選ぶにしても、「いばらの道」であることは間違いないのです。政治評論家の伊藤達美氏もそう指摘しています。

記事のソースリンク:日本ニュース24時間