「ラグビーの魅力を考える」――元協会理事・谷口真由美さんの独自視点

ラグビーのワールドカップ

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会が現在開催中です。日本代表はアルゼンチンとの試合で決勝トーナメント進出をかけて戦います。ラグビーと言えば、タックルやスクラムなど接触プレーが多い競技ですが、このような接触の激しさから選手たちが自己制御や相手を尊重する精神性を重んじています。そんなラグビーの最大の魅力を語るのは、元日本ラグビーフットボール協会理事であり法学者でもある谷口真由美さんです。彼女に、ラグビーについて詳しく話を聞いてみました。

谷口真由美とは

谷口真由美さんは法学者であり、ジェンダー法学会や国際人権法学会の理事を務めています。1975年に大阪で生まれ、大阪国際大学などで憲法や国際人権法を教える一方、2012年から2019年まで市民団体「全日本おばちゃん党」の代表代行も務めました。父親が近鉄ラグビー部の元選手であり、引退後も部の寮長を務めていたため、谷口さんは子供の頃から大阪の花園ラグビー場にある寮施設で暮らしていました。2019年6月には日本ラグビーフットボール協会の理事に就任し、その後もラグビー・新プロリーグの法人準備室長やディビジョン分けの審査委員会の委員長を務めました。彼女は自身の経験をもとに法学者としての視点からラグビーについて興味深い見解を持っています。

ラグビーの魅力とは

ラグビーという競技は選手たちが激しくぶつかり合うスポーツです。しかし、闘争本能だけでぶつかり合うのではなく、最低限のルールや価値観を持つことが大切です。実際、世界のラグビーを統括する「ワールドラグビー」は、選手だけでなく、関係者全員が共有すべき「ラグビー憲章」というものを掲げています。この憲章には「品位」「情熱」「結束」「尊重」そして「規律」が挙げられています。これらの価値観がラグビーの魅力とも言えるのです。

私にとって、ラグビーの魅力を教えてくれた本として、大西鉄之祐先生の「闘争の倫理」があります。大西先生は元ラグビー日本代表の監督であり、早稲田大学ラグビー部の指導者でもありました。彼の本の中で大西先生は「戦争をしないためにラグビーをする」と書いています。この言葉には私も感銘を受けました。

人と人とのぶつかり合いにおいても最低限のルールがあり、それを守ることが重要なのです。大西先生は兵士として戦争を経験していたため、戦争を避けるためにはどうすれば人間性を失わずにいられるのかを考え、その手がかりをラグビーの精神に見出したのです。ラグビーの精神によって品位や規律を保ち、相手を尊重することが世界の平和に繋がるのです。

また、私にとっても興味深い点があります。それはラグビーの規則をルールではなく「ロー(法)」と呼ぶことです。2018年にはルールが削減されましたが、社会ではますます法律が増え、人々を縛り付ける傾向があります。しかし、ラグビーでは選手たちは自らを律し、コントロールすることを求められているのです。

ラグビーは接触プレーの激しい競技ですが、その中にある「規律」という言葉は重要な意味を持ちます。選手たちだけでなく、関係者全員がラグビーの価値観を共有し、それを守ることによってより良い競技環境を作り出すことができるのです。

このように、谷口真由美さんの独自の視点から見ると、ラグビーは単なるスポーツ競技だけでなく、社会課題解決にもつながるものであることがわかります。その魅力をより多くの人に伝えることで、ラグビーの社会的な意義を広めていきたいと思います。

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