静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)が抱える学歴詐称疑惑が、市民やネット上で大きな波紋を呼んでいます。特に問題視されているのは、市の広報誌などで公表されている東洋大学卒業という経歴です。田久保氏がこの疑惑に対し、代理人弁護士に一任するとして明確な説明を避けていることから、ネット上では「卒業証書を見せれば済む話ではないか」「なぜ証明書を出さないのか」といった声が噴出しています。本記事では、疑惑の詳細から市長の対応、そして卒業証明書の発行がどれほど容易なのか、東洋大学卒業の記者が実際に検証した結果までを報告します。
疑惑の発端と市長の対応
伊東市初の女性市長として今年5月の選挙で現職を破り初当選を果たした田久保氏ですが、その直後から経歴に関する疑問の声が上がり始めました。発端は、田久保氏が市の広報誌などに記載していた東洋大学卒業という学歴に対し、6月上旬に「東洋大学卒ってなんだ。中退どころか除籍であったと記憶している」とする匿名の怪文書が市議会議員らのもとに送付されたことです。
田久保眞紀伊東市長の顔写真、学歴詐称疑惑の渦中
この怪文書を重く見た一部の市議は、6月25日に開かれた市議会本会議で田久保市長に対し、直接的な学歴の確認を求めました。これに対し、田久保市長は「この件については代理人弁護士に任せている」とし、「私の方からの個人的な発言については控えさせていただく」と繰り返すに留まりました。出自不明の文書に正面から反論しない姿勢は、市長の毅然とした対応とも受け取れますが、「明確な説明責任を果たしていない」「市民への誠意が見られない」といった批判的な意見も市民や傍聴者から上がりました。
市議会でのやり取りを受け、田久保氏は自身のX(旧Twitter)アカウントで一連の騒動について言及しました。「大変不本意ではありますが、法的手続きに入ることと致しました」と投稿し、「怪文書のような匿名の誹謗中傷に対しては毅然とした対応をするという当初からの姿勢に変わりはありません」と改めて強調しました。しかし、この投稿に対しては、「なぜすぐに証明書を出さないのか」「法的手続きと学歴の証明は別問題では」といった趣旨の批判的なリプライが多数寄せられ、市長の対応への違和感が広がっています。
東洋大学卒業証明書の発行検証
学歴証明として卒業証書は一般的ですが、紛失や実家保管などで、すぐには提示できない場合もあります。しかし、大学発行の卒業証明書は、所定の手続きで比較的容易に入手可能です。もし田久保市長が東洋大学を卒業しているのなら、この証明書を提示するだけで疑惑は速やかに晴れるでしょう。では、具体的に卒業証明書を入手するにはどれほどの手続きが必要なのでしょうか。NEWSポストセブン編集部では、実際に東洋大学を卒業した40代の記者が、6月30日に母校キャンパスを訪れ、その発行手続きを検証しました。
記者の体験によると、発行手続きは「ごく簡単なもの」でした。2013年3月以降の卒業生は全国のコンビニエンスストアで各種証明書を発行できますが、それ以前の卒業生は大学のキャンパス窓口での直接手続き、または郵送での申請が必要となります。記者は白山キャンパスで入校後、教務課へ。指示に従い端末操作で申請し、手数料500円を支払いました。申請フォームへの記入が必要ですが、記者は当時の学籍番号を失念しており、さらに卒業年度をうっかり間違えて申請してしまいましたが、特に問題なく手続きは進行しました。
申請から約10分で証明書が発行。運転免許証で本人確認後、受け取れました。大学入校から証明書受け取りまで、30分もかからなかったといいます。記者が手にしたのはA4サイズ1枚の「卒業・学位証明書」で、そこには卒業学部名(経営学部)や学科名、生年月日の他、「学士(経営学)」という正式な学位名が明記されていました。
田久保市長が卒業したとされている東洋大学法学部も、記者が訪れた白山キャンパスに教務課があります。もちろん、市長という多忙な立場の方が、こうした証明書の発行手続きのために時間を割くのは難しい側面もあるでしょう。しかし、本人の委任状があれば代理人による申請も可能ですし、東洋大学でも郵送での申請を受け付けています。
今回の検証を通じて、東洋大学の卒業証明書は、卒業年度によって手続き方法に違いはあるものの、キャンパス窓口での申請であれば非常に短時間で発行可能であり、また郵送や代理人による申請といった選択肢も用意されていることが分かりました。この「紙1枚」とも言える証明書を公に示すことで、田久保眞紀伊東市長に現在向けられている学歴詐称疑惑、そしてそれに起因する市民の不信感を払拭し、市政への信頼回復につなげられる可能性は十分にあります。伊東市のトップである市長が、この状況に今後どのように対応していくのか、市民の注目が集まっています。
参考資料:
- NEWSポストセブン (Yahoo!ニュース掲載記事)
- 伊東市広報誌 掲載情報
- 伊東市議会本会議 議事録
- 田久保眞紀氏 公式X (旧Twitter) アカウント
- 東洋大学 公式ウェブサイト (証明書発行関連情報)