フジテレビの社員がオンラインカジノで常習的に賭博をしたとして、6月23日に逮捕された。逮捕されたのはバラエティ制作部の企画担当部長を務めていた鈴木善貴容疑者(44)だ。フジテレビは「当社社員が逮捕されたことを重く受け止めております」とコメントを発表したが、局内には動揺が広がっている。キー局社会部記者が事件の背景を語る。
フジテレビ本社とオンラインカジノ賭博で逮捕された鈴木善貴容疑者のSNS投稿画面
逮捕の経緯と賭博の実態
鈴木容疑者はこれまでに1億数千万円以上をオンラインカジノに賭け、今年に入ってからも利用を続けていたという。取り調べに対しては容疑を認めているとのこと。この金額は、彼の常習的な賭博行為の深刻さを示している。
フジテレビでの経歴と影響力
鈴木容疑者は、近年では人気番組『ぽかぽか』や『ネプリーグ』の制作統括を担当するなど、フジテレビの看板番組を手がける「敏腕プロデューサー」として知られていた。過去には『さんまのお笑い向上委員会』の演出や『笑っていいとも!』のディレクターも務めた経験を持つ。港浩一前社長が高く評価していた「港派」の社員であり、バラエティ畑の最前線で活躍し、複数の芸能人からも厚い信頼を得ていたという。2023年に始まった『ぽかぽか』では、港前社長の意向を受けて総合演出を任されていたほどだ。「古き良きフジ」の体質を受け継ぐテレビマンであった一方で、韓国でもカジノを楽しむなど、局内では「カジノ好き」としても知られていたようだ。
SNS投稿が明かす借金苦と破産検討
鈴木容疑者は、オンラインカジノにのめり込み借金に苦しむ様子を自身のSNS上に赤裸々に投稿していた。そこには、以下のような生々しい内容が綴られている。
「3時間でマイナス18000ドル。この一週間では、、、言えない。打つと涙出てくる。吐き気も。カジノで負けすぎて人生戻る映画ないかな オンカジ 個人再生 #破産」(2022年9月の投稿)
「一ヶ月これですごさないと、死ぬ というかもう死んでる あー 生きながら死んでるんだよ」(2020年9月の投稿、総額835円の現金の写真が添付されていた)
これらの投稿からは、彼が抱えていた深刻な経済的困窮と精神的な苦痛がうかがえる。
賭博を始めたきっかけと今後の懸念
鈴木容疑者は取り調べに対し、オンラインカジノを始めたきっかけについて「5年ほど前、職場の先輩に誘われて始めた」「周りの人もやっているから大丈夫だろうと続けてしまった」と供述している。この供述は、局内に他にも同様の行為に関与している社員がいる可能性を示唆しており、別のフジテレビ関係者は「不穏な動きがありました」と話すなど、フジテレビとしてはこれ以上の社員の摘発は避けたいところだろうが、問題がこれだけで収束するかどうか懸念されている。
今回のフジテレビ社員逮捕は、個人が抱えるギャンブル依存の問題が大手メディア企業の信用を揺るがす事態へと発展したケースと言えるだろう。