ブルトン欧州委員、EU空母やEUミサイルシールドの議論を提起

ブルトン欧州委員は、欧州域内市場委員会議での発言で、EU空母やEUミサイルシールドの必要性について注目を集めています。これにより、安全保障と平和に貢献するEUの役割が具体化される可能性が高まりました。

「防衛産業界への資金を捻出する問題に発展」

メルケル政権時代のカレンバウアー国防相は、EUの安全保障と平和に貢献する象徴的な空母建造プロジェクトを発案しました。しかし、欧州のアナリストたちは、EUが空母を保有しても共通戦略や意思決定の構築が困難であるため、欧州空母という概念が馬鹿げていると笑いました。しかし、再び「欧州(EU)空母」という言葉が登場し、注目を浴びています。

出典:Ministère des Armées

ブルトン氏は、欧州防衛・安全保障会議での発言で、「弾薬やミサイルの生産増強に対する取り組みは始まったばかりであり、今後の防衛投資を確実なものにするためには、野心的な防衛投資プログラムを産業界に提示し、空母、ミサイルシールド、宇宙ベースのISR能力についての議論を始める時期が来ている。再び欧州大陸で激しい紛争が発生しているため、他に選択肢はない」と訴えています。

「欧州空母の必要性は軍事的に不明」

ウクライナでの戦争をきっかけに防衛産業への資金流入が始まったものの、この流れを維持・拡大するためには、「もっと大きなニーズ=空母、ミサイルシールド、宇宙ベースのISR能力を真剣に議論し、需要を喚起する必要がある」という意味です。ただし、軍事的な観点から見ると、欧州空母の必要性はまだ不明です。

出典:MBDA

ブルトン氏の発言は、防衛産業を含む域内市場委員視点からのものであり、結局のところ、防衛産業への投資を維持・拡大するためにはどこから資金を捻出するかという問題に行き着きます。そのため、ブルトン氏は欧州防衛基金と結びついた野心的なプログラムを要求していると言えます。

フランス政府は440億ユーロの国防予算を要求し、2隻の空母体制を検討しています。また、ドイツも、極超音速兵器迎撃に対応したフランス主導の防空システム開発に参加しています。

この記事の画像は、Ministère des Arméesからのものです。

※アイキャッチ画像の出典:Thierry Breton

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