中国の巨大経済圏構想である「一帯一路」の国際会議が北京で行われています。習近平国家主席の提唱から10年を迎え、中国は世界各地のインフラ開発を支援し、その成果をアピールしています。しかし、過剰融資により低所得国が債務危機に陥る「債務のわな」などへの批判も増え、一帯一路は曲がり角に立たされています。
一帯一路の成果と課題
中国メディアによると、「一帯一路」10周年の区切りに開かれた国際会議には、ロシアのプーチン大統領を始め、150か国近くから4000人以上が参加しました。中国は会議で、欧州との間を結ぶ貨物列車や、インドネシア・ジャワ島の高速鉄道を建設した実績などを強調しました。これまでに総額1兆ドル(約150兆円)を多くの国のインフラ建設に投入し、交通や貿易を通じた相互交流、環境重視の発展、デジタル経済などの分野で各国代表が意見を交わしました。
しかし、一帯一路に参加した国の中には、過剰融資を受けて債務危機に陥り、「債務の罠」として港湾施設などの長期使用権を中国に委ねる事態になった国もあります。これにより、中国に対する批判が高まり、習氏の巨大経済圏構想に再考が迫られています。
「一帯一路」の歴史と展望
一帯一路の構想は、北京大学国際戦略研究院の王緝思院長が2012年に発表した論文に端を発しています。「西への行進」と題されたこの論文では、中国は東に位置する日本や韓国、台湾、フィリピンとの対決よりも中央アジアや中東に注力すべきだと主張されています。
一帯一路は中国の国際的な存在感を高めるための試みであり、その成果も一部では確認されています。しかし、過剰融資による債務問題や警戒感の広まりなど、課題も浮上しています。一帯一路の将来には再考が必要であり、習近平国家主席のリーダーシップが問われる時となっています。
記事の元記事へのリンクはこちらです。