全国初の自治体公認バーチャルユーチューバー(Vチューバー)として茨城県のPR活動を展開している「茨(いばら)ひより」が、デビューから1年を迎えた。自治体が発信する動画をあまり見ない若年層を狙った戦略が奏功し、県の動画サイトの登録者数は大幅に増え、2億円以上の広告効果を生んでいる。
茨ひよりはコンピューターグラフィックス(CG)で描かれた女性キャラクターで、県の動画サイト「いばキラTV」の公式アナウンサーを務める県職員という設定で活動している。
いばキラTVで県の観光情報などを発信する姿が話題を呼び、動画投稿サイト「ユーチューブ」のいばキラTVのチャンネル登録者数は今年3月、自治体の公式動画サイトとしては初の10万人を突破した。動画視聴者の6割以上は18~34歳で占められているという。
活躍の場はいばキラTV以外にも広がり、6月につくば市で開かれたG20貿易・デジタル経済相会議で、歓迎レセプションに動画で登場し茨城での宇宙ビジネスの展開などについて紹介した。英BBC放送に自治体のVチューバー活用事例として取り上げられるなどメディアにも注目され、県によると、広告費に換算した効果は2億4千万円(3月末時点)に達している。
■茨ひよりコスプレーヤー・もころすさんに聞く
茨城県つくば市で会社員として働きながらコスプレーヤーの活動をしているもころすさん(本名非公開)は、茨ひよりのコスプレ姿でさまざまなイベントなどに参加している。
「茨城らしいほどよい田舎っぽさと、あざとすぎないかわいさのデザイン!」
茨ひよりのイラストを目にして感動したというもころすさんは、その衣装に身を包み、仲間と一緒に撮影してインターネットで発信したりするようになった。大学時代からコスプレを楽しんでいたが、「茨城の女の子」として、県にゆかりのあるコスプレをやってみたいと思っていたという。