教え子への性的なわいせつ行為が後を絶たない現状について、新たな事件が明るみに出ました。東京都練馬区のある中学校で校長が女子生徒のわいせつ画像を所持していたことが発覚し、逮捕されました。この事件は、女子生徒が卒業後になって窓口に相談したことで明るみに出たものでした。学校内の上下関係や被害者の年齢の低さなどから、性被害を認識しにくく、被害者がSOSを出すのが難しい実情が浮かび上がってきました。（福元洋平、江原桂都）
評判が良く
「校長は『人のために』とよく言っていたのに」と、事件当時中学３年生の女子生徒（１４）はショックを隠せず話しました。
警視庁は先月、練馬区立中学校の元校長（５５）（児童買春・児童ポルノ禁止法違反で起訴）を、別の中学校に勤務していた女子生徒のわいせつ画像所持の疑いで逮捕しました。
関係者によると、この男性は理科の教員として教育法を研究していることで知られていました。校長への昇進も順調で、練馬区教育委員会は「学校運営も問題なく、異常な行動の報告はなかった」と述べています。男性は休み時間に各教室を歩き回り、生徒たちに気さくに声をかけていたそうです。
周囲からの信頼が、逆に事件の発覚を遅らせた可能性もあるようです。NPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」によれば、「教員の評判が良いほど、被害者が『周囲に信じてもらえないかもしれない』と思い込んでしまい、被害を訴えづらくなるケースが少なくありません」とのことです。
記憶にふた
同ネットワークによると、教員から性的なわいせつ行為を受けた場合、被害者は以下のような理由から訴えることが難しいとされています。
- 年齢が低すぎて、行為の意味を理解できない
- 絶対的に立場が上の教員に逆らえない
- 被害者の特定や加害者への情報漏えいへの恐怖心がある
関係者によると、今回の事件の被害者は窓口で相談した際に、「当時は自分が性被害を受けていると気づいていなかった」と話したという報告があります。
性暴力の被害者を支援する一般社団法人「スプリング」が2020年に行った調査によると、性被害を受けた男女約5,900人の半数以上が、すぐに被害だと認識できず、平均で7年かかることが判明しました。被害が起きた時点で6歳以下だった場合、35％の人たちは被害を認識するまで11年以上かかっていました。また、一定の年齢に達していても、信頼している相手であれば、性的な行為を「被害」と捉えることが困難になるのだとか。
このような事件が繰り返されることは許されません。教師としての責任を持った人たちが、信頼を裏切る行為を繰り返すことがないよう、厳しい対策と監視体制が必要です。
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