戦争状態にあるロシアとウクライナは、来年の国家予算案において膨大な国防関連費(軍事費と国家安全保障費)を計上する見通しとなっています。ロシアは、2024年の予算案で国防関連費に14兆2,000億ルーブル(22兆7,000億円)を計上します。これは、歳出全体の40%に相当します。一方、ウクライナも歳出の50%以上に当たる1兆7,000億フリブナ(約7兆円)を国防関連費に充て、戦闘の長期化に備える態勢を整えています。
ロシアの予算案
ロシアとウクライナの予算案は、両国が戦場で勝利し、相手に譲歩を迫るために国の総力を結集することを改めて示しています。ロシア政府は9月末に2024年の予算案を提出しました。予算案によると、24年には歳入が35兆ルーブル、歳出が36兆6,000億ルーブルと見込まれています。軍事費には10兆8,000億ルーブルが計上され、前年比で68%増加し、国内総生産(GDP)の6%に達する見込みです。
軍事費と国家安全保障費(3兆4,000億ルーブル)を合わせた24年の国防関連費は、計14兆2,000億ルーブルになり、全体の約40%を占めることになります。
露下院のマカロフ予算委員長は、「議会はプーチン大統領が示した課題に応える必要がある。第一は国防、軍需産業、経済発展だ」と強調しました。ただし、経済費は24年に3兆9,000億ルーブルに減額され、産業振興への資金が削減される見通しです。
英国防省は、24年の露国家予算案に関して、「支出の重点がますますウクライナ戦争への費用に置かれている」と指摘しています。軍事費の増加はインフレの加速や経済悪化の要因になる可能性が高いと分析しています。
ウクライナの予算案
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は、24年の国家予算案において、GDPの21.6%、金額で1兆7,000億フリブナの国防関連費を支出するよう定める大統領令に署名しました。このうち、費用の大半は軍の人件費や兵器・弾薬の購入に充てられる予定です。ウクライナメディアによると、23年の国防関連費は1兆5,700億フリブナでした。
ウクライナ政府は、24年の国家歳入を1兆6,000億フリブナ、歳出を3兆1,000億フリブナと想定しています。ウクライナ最高会議(議会)予算委員会のホンチャレンコ議員は、「国が稼いだ資金は全て戦争に回る。他の分野は米英、欧州連合(EU)、日本、カナダなどからの財政支援でまかなわれる」と説明しています。
この予算案の実施により、ロシアとウクライナの戦力が強化され、戦争の継続が予想されます。両国の予算に対する取り組みが、地域の安定と国家の安全を確保するために欠かせないものであることが明確になりました。
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