ミャンマーにおける違法薬物ビジネスの実態

ミャンマー北東部シャン州で、ケシを栽培する農家

ミャンマーは、国軍のクーデターによって混乱が広がっています。この混乱を背景に、違法薬物ビジネスが急速に広がっているのです。ジャーナリストの舟越美夏さんが現地で実態を追いました。

クーデターを機に広がる「脅威」

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12歳のビシュヌ君は、顔がげっそりと痩せているのは飢えのせいではありません。実は、彼は朝晩、ヘロインを吸引しているのです。

ビシュヌ君の住む東北部シャン州の村は、2年前のクーデターによって激しく空爆されました。彼は両親と共に避難し、小遣い稼ぎのためにヤギの世話をしていたとき、他の子から「嫌なことが忘れられるよ」とヘロインを教えられました。「よく眠れる。おなかもすかないし、やらないと足が痛くなるんだ」とビシュヌ君は語ります。今は、ヘロインの売人が墓地にやってきて、そこで寝起きしているのだといいます。「友達に会えたから、学校が好きだったんだけど」とビシュヌ君は遠い過去を振り返ります。

ミャンマー国軍のクーデターは、国内の経済的な混乱と無法状態を引き起こし、違法経済の成長に拍車をかけました。その一つが違法薬物ビジネスであり、その勢いは爆発的です。ビシュヌ君のようなミャンマーの子供や市民だけでなく、大量生産によって価格が暴落した薬物は、犯罪組織や少数民族武装勢力、腐敗した国軍兵士や警察官を介して国境を越え、アジア太平洋地域の各国で依存者を増やしています。この巨額の利益は、賄賂や資金洗浄(マネーロンダリング)を通じて行政や司法のシステムを悪化させ、合法経済を圧迫しているのです。

違法薬物ビジネスは、今や気候変動や感染症と並んで、人々の尊厳や生存を脅かす「新たな脅威」と言われています。国連薬物犯罪事務所(UNODC)東南アジア大洋州地域事務所(バンコク)のジェレミー・ダグラス所長は、「地域全体が大きな打撃を受ける」と警告し、各国が連携して対策を打ち出すよう呼びかけています。しかし、各国は取り締まりには力を入れていますが、根本的な問題解決に取り組むことはまだまだ難しいのが現状です。

クーデターをきっかけに広がる「脅威」の一端と、それに抵抗する人々の試みを見ていきましょう。

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