ウクライナ側が否定するTIME誌の記事、記者は現大統領顧問が情報源と示唆

ウクライナ政府高官はTIME誌の記事内容(ゼレンスキー大統領は西側諸国から裏切られたと感じているなど)を否定したが、記事を執筆したサイモン・シュスター記者は「匿名の情報提供者は「元」ではなく「現役」の大統領顧問」と示唆した。

記事に登場した匿名の情報提供者は「元」ではなく「現役」の大統領顧問で、政権内部の事情にアクセスできない人物ではない

米国のTIME誌は30日、ゼレンスキー大統領や政権関係者の証言に基づいて「もう大統領にジョークで作戦会議を和ませる余裕はなく、最新の報告を受け取って命令を下すと部屋を出ていくだけになった」「ゼレンスキー大統領は西側諸国から裏切られたと感じている。西側諸国は戦争に勝利するための手段を与えず、ただ生き延びるための手段だけしか提示しない」「大統領の頑固さがウクライナの柔軟性や選択肢の幅を狭めている」と報じて注目を集めた。

PRESIDENT OF UKRAINE
出典:PRESIDENT OF UKRAINE

さらに「訪米時のゼレンスキー大統領の演説が支持を繋ぎ止めるのに失敗した」「春まで攻勢を停止させることをゼレンスキー大統領が受け入れない」は「反攻作戦の行き詰まりを説明するため大臣と反攻作戦を担当した将官をクビにする必要がある」「前線の指揮官の中には大統領府の直接命令を拒否するものまで現れた」「大統領府はホルリウカ(ゴルロフカ)奪還作戦を要求してきた」「ウクライナでは武器不足よりも人員不足が深刻化している」「新兵の確保に苦しんでいる」「疑惑が浮上した政権内部の人間を擁護している」とも言及し、ウクライナ側は記事内容を否定。

特にウクライナ国家安全保障・国防会議のダニロフ書記は「この情報を記者がどこから入手したのかは分からないが、TIME誌に書かれている内容は事実ではない。記事に登場した匿名の背信行為はウクライナに大きな損害を与えており、この戦争に勝利できないと考えるなら大統領に近づく資格はなく、我々は背信行為を働いた人間が誰なのか知る必要がある」と述べ、この問題に当局は対処(匿名の情報提供者を特定して政権から排除する必要がある)すべきだと示唆。

Рада національної безпеки і оборони України
出典:Рада національної безпеки і оборони України

ポドリャク大統領顧問も「これは記者の主観的な見解であり、私は当該記事に登場する匿名の関係者が何なのかを全く理解できない。私が大統領府を代表して誰かと話す際には必ず立場を明らかにするようにしている。この匿名の情報源は何らかの情報にアクセスできない人物のことで、自身の存在感を高めるため個人的の見解を政権の公式な立場として提供しているに過ぎない」と語り、一部のウクライナメディアも記事を執筆したサイモン・シュスター記者の過去=ロシアで働いていたことやウクライナに批判的な記事など紹介している。

しかしサイモン・シュスター記者は「記事の内容は現政権関係者の話に基づいている」とウクライナ・プラウダ紙に明かした。

alt text

サイモン・シュスター記者はウクライナ・プラウダ紙のインタビューに応じた中で「記事を注意深く読めば分かると思うが、私は元大統領顧問や元大統領府スタッフと話したのではなく、現在の大統領顧問(ポドリャク以外にも複数存在)と話をしたのだ。記事の中で「元」という言葉は一度も使用していない」と明かし、ゼレンスキー政権への批判的な発言で注目を集めるオレクシー・アレストビッチ元顧問は「匿名の情報提供者」に含まれないと明言。

シュスター記者は「3週間に及ぶキーウ滞在中に多くの人々と会って様々な問題を話し合った。取材に応じてくれた人々は自分自身をリスクに晒すことなく、直面している問題への注意を喚起するため匿名で話をしたかったのだ」とも説明し、今後執筆する予定の記事には「反攻作戦の複雑と技術的なブレークスルーの必要性」が含まれ、同様の内容をザルジニー総司令官がThe Economist紙に明かしている。

PRESIDENT OF UKRAINE
出典:PRESIDENT OF UKRAINE

要するに記事に登場した匿名の情報提供者は「元」ではなく「現役」の大統領顧問で、政権内部の事情にアクセスできない人物ではない=いい加減な記事ではないと言いたかったのだろう。

ところで、シュスター記者は「(記事に対して)これほど多くの反応を予想していなかったので驚いている」と述べている。

米タイム誌、大統領の頑固さがウクライナの柔軟性や選択肢を狭めている
ウクライナ政府高官、TIME誌の記事内容を否定し情報提供者の排除を示唆

※アイキャッチ画像の出典:Українська правда

Source link: 日本ニュース24時間