イセエビの激減と東北での大漁:三重のピンチと喜び

イセエビは、高級食材として知られる一方で、その漁獲量が減少しているという異変が起こっています。特に、三重県志摩市では、イセエビの漁獲量が激減している一方で、東北地方では大漁となっています。

イセエビの価格、3年で2倍に上昇

三重県伊勢市にあるフランス料理店では、地元名産のイセエビを提供しています。イセエビは、特別な日に食べたいという人々にとって、重要な存在です。しかし、3年前の仕入れ価格が1キロあたり4000円だったのに対し、現在は8000円ほどになり、ほぼ2倍に上昇しています。さらに、電気代やガス代の高騰も重なり、メニューの値上げも検討されています。客の一人は、「めったに食べられないからこそ、特別な時に食べられるのに。価格高騰で食べる回数が減ってしまうのは、寂しくなります」と話しています。また、レストランの経営者も、「毎年、5~10%ずつ値上げせざるを得ない状況。気軽にレストランに足を運んで、『この値段でこの料理が食べられる』と地元の方に喜んでもらいたいけど、このまま価格高騰が続くとどうなるのかな」と懸念を示しています。

東北の海でイセエビが増えている理由とは?

イセエビの値上がりの原因は、水揚げ量の減少です。例えば、代表的な産地である志摩市でも減少が見られます。志摩市の水揚げ量は2019年以降、年々減少し、2022年には64トンにまで落ち込みました。しかしこの異変は志摩市に限ったことではありません。イセエビは、千葉県や三重県などの関東から南の地域で水揚げされていましたが、近年は関東よりも北の地域でイセエビの数が増加しています。

例えば、宮城県石巻市では、数年前からイセエビの水揚げが増え始め、今年は一度の漁で20匹ものイセエビが水揚げされることもあるそうです。また、福島県でも震災前の2010年と比べて水揚げ量が4倍近くに急増しています。これらの現象が起きている理由として、東北大学大学院の片山知史教授は、「イセエビはあたたかい海の生き物で、水温約20℃が適切な水温です。東北の海の水温上昇が、イセエビの生育に適した背景となっているのではないか」と説明しています。

このように、イセエビの漁獲量の減少と東北地方での増加は、水温の変化によるものと考えられます。

記事の出典: 日本ニュース24時間