「偽減税」に揺れる岸田政権――ついに自民党有力議員からも「偽総理」と呼ばれる状況へ

日本ニュース24時間

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岸田内閣の支持率が政権発足以降、過去最低の26.9%にまで低下したことが明らかになりました。所得税の減税策に対して「評価しない」とする人々が56%もおり、主な理由は「政権の人気取りだと思うから」という意見が最も多かったようです。党内からも「国民は違和感を抱いているのではないか」との声が上がり、岸田首相は窮地に立たされています。今回は、国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏がこの状況を解説します。

自民党有力議員からも批判 「偽総理」状態になってしまった岸田首相

10月30日に公表された世論調査では、岸田政権の支持率が26.9%と記録されました。この数字は内閣にとって危機的な状況だと言えます。しかし、この調査結果にはさらに重要な事実が含まれています。それは、内閣支持率の26.9%が自民党支持率の38.3%を大きく下回っているということです。

岸田首相が「僅か1年の所得税・偽減税」を行ったことに注目が集まっています。これにより、岸田首相と自民党の関係性が逆転し、首相は完全に求心力を失ってしまったと言えるでしょう。もはや自民党有力議員たちは岸田首相に対して配慮する必要がなくなり、「偽総理」という状態になったのです。

岸田派は党内で勢力を持つ第四派閥に過ぎず、党内政治においてはあまり強い派閥とはいえません。そのため、岸田首相は巧みな政局人事を行い、党内の有力者たちを疑心暗鬼に陥れることで自身の政権を維持してきました。

岸田首相が作り上げた政局人事にも綻びが見られるようになった

最大派閥である旧安倍派は、官邸と党の人事に巧みに操られ、派閥内の有力者たちの間に亀裂が生まれ、政治勢力として機能不全状態に陥っています。二階派や菅グループなどの反主流派も友好派閥である森山派を介して一定の配慮を受けながら、事実上閑職に追いやられています。

一方、主流派はどうなっているのでしょうか。茂木派では、トップの茂木幹事長を重用しつつ、同氏にとって潜在的な脅威である小渕優子議員を党選対本部長に就任させることで緊張感を演出しています。麻生派では、財務大臣に麻生大臣に近い鈴木大臣を起用し、さらに菅前総理に近い河野太郎議員を取り込むことでバランスをとっています。また、岸田派では次期首相候補と目される林前外務大臣を閣外に追いやり、初の女性大臣である上川陽子議員の登用によって期待を高めました。

岸田首相は、自民党内の派閥間の対立を利用して政局人事を行い、自民党有力議員たちの動きを封じ、自身に対抗する勢力が結束することを防止してきました。しかし、今回の内閣支持率が自民党支持率を下回るという事態によって、岸田首相が築いた政治的な構造にも亀裂が生じてくるでしょう。果たして、岸田首相の砂上の楼閣はどこから崩れていくのでしょうか。

鬼の岸田政権の裏側に迫る――「真の総理」とは?

岸田首相が自民党支持率を下回る「偽総理」となった今、本当の中心人物は誰なのでしょうか。国の根幹は税制にあります。歴史的に議会は税に関する権限争いから生まれたものです。つまり、国の在り方は税金の在り方であり、税率を決めることができる人物が日本の真の最高権力者と言えるでしょう。

渡瀬裕哉