「ネットで知り合った男に殺害された次女、パソコン買った父「僕が娘を殺した」と自責の念」

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「命を大切に、今を笑って」と語りかける米村さん

講演活動を通じて遺族の思いを伝える

2003年に次女(当時20歳)を殺害された熊本市中央区の米村州弘さん(68)が、遺族の思いを伝えようと400回を超える講演活動を続けています。初めは事件を振り返ることがつらかったが、たくさんの人たちに話すことで、自身の中に娘が生き続けていると感じられるようになりました。「たった20年の月日でしかない」。悲しみは決して癒えないが、これからも娘とともに命の尊さを訴えることを決意しています。(石原圭介)

「命の大切さを学ぶ教室」で思いを訴える

「たった一つの命を守り抜いて。生きているだけで周りを幸せにしているから」。10月26日、熊本県八代市の八代清流高校で開催された「命の大切さを学ぶ教室」で、米村さんは熱く訴えました。

次女の智紗都さんは2003年9月、インターネットで知り合った男に殺害されました。遺体は奈良県の山中で発見されました。

講演では、娘の写真を横に置き、朝食や夕食を家族で囲み、海水浴やテーマパークに出かけた思い出を語りました。事件後、家族の笑顔が消えてしまったことに悩み、娘が買ったパソコンで男とつながってしまったことを、「僕が娘を殺したんだ」と自分を責め続けました。

約500人の生徒は、「みなさんの命には多くの人が関わっている。そのことを忘れないで」という訴えに聞き入りました。18歳の生徒は「家族が罪の意識にさいなまれていると初めて知った。周りの人、自分のことも大切にしたい」と語りました。

加害者からの返事はなく

米村さんの自宅の玄関や居間には、数百枚に及ぶ生前の娘の写真が並んでいます。毎日、輝くような笑顔を見ても、事件後に大阪府警の警察署で対面した娘の変わり果てた姿が頭から離れません。男は殺人と死体遺棄罪で懲役15年の判決が確定しました。米村さんは公判後、動機を知りたいと男に手紙を送りましたが、返事はないと言います。

講演活動は事件から1年が経った頃、県警の依頼で始めました。最初は「何で自分はこんなことを話しているのか」と事件を振り返ることが苦しかったですが、娘の話を聞き、命を大切にしてくれる人が増えることで、「娘の命が次の命につながっている。話をすることで娘は生き返るんだ」と考えるようになりました。

本記事のソースリンク:日本ニュース24時間