Economist紙、反攻作戦の失敗を認めないと同じ結果を繰り返すだけ

ザルジニー総司令官の記事を掲載したThe Economist紙は、ウクライナ・プラウダ紙の取材に応じ、反攻作戦が失敗したと認めなければ「同じ結果」を繰り返すだけで、次回の反攻作戦で「異なる可能性」を期待できないと指摘しました。

現状を打開するためには現状を認めることが重要

ウクライナ・プラウダ紙は「ザルジニー総司令官のインタビュー記事」を掲載したThe Economist紙に取材し、同紙の軍事コラムニストであるシャシャンク・ジョシ氏が興味深い視点を提供していると述べています。ジョシ氏は、ウクライナの問題を解決するためには現状を認めることが非常に重要であると指摘しました。

出典:ArmyInform/CC BY 4.0

ザルジニー総司令官は、公の場でウクライナ軍の問題を議論する決断をしたことについて、ジョシ氏のインタビューに答えながら語っています。「反攻作戦の問題点を公にするのは非常に難しい選択だったと思う。彼が指摘した内容の殆どは人々の期待を裏切る内容だったが、人々は反攻作戦が直面した困難さ、特に南部戦線での困難な状況を理解していない。恐らく『ロシア軍は予備戦力、弾薬、ミサイルが不足して多くの困難を抱えている』と考えていたため『何かセンセーショナルな突破口が目前に迫っている』と錯覚していたのだろう」と述べました。

現状を正しく把握するためには、あらゆる側面を認識する必要があります。しかし、ジョシ氏は、ウクライナが必要としている支援が何であるかを理解するためには、技術的な観点から詳細に言及したザルジニー総司令官が提供した情報が非常に貴重であると評価しています。

出典:Photo by John Hamilton

現状を認めることが打開策への第一歩

ウクライナの問題についての評価は、ウクライナの支持国である西側諸国にとっても重要です。ジョシ氏は、「現状について正直に話すことが重要だ。欧米の政治家達は『膠着状態』というワードの使用を避けていた。何故なら膠着状態と認めると『ウクライナの状況が絶望的』で『この消耗戦においてロシアが有利だ』という印象を世論に植え付けるリスクがあるからだ。戦争の膠着状態は『反攻作戦の失敗』を意味し、西側諸国はウクライナへの支援を撤回せざるを得なくなるかもしれない」と述べています。

出典:Сухопутні війська ЗС України

ザルジニー総司令官が反攻作戦の失敗を認めることは、現状を打破し、ウクライナにとってより良い未来を作るための重要なステップとなります。ジョシ氏は、「現状を打破するためには現状を認めることが最も重要だ。私はウクライナに対して宿命論者であったことはなく、長い戦いの中で困難に直面しても最終的には勝利すると信じているし、国力の大きなロシアの長期戦に必ず勝利する保証もない。しかし、ウクライナを見捨てようとする政治家、特に米国の共和党は自分達の主張を押し広げるためザルジニー総司令官の発言を利用するリスクがある」と述べています。

戦局を打破するためには戦術的な課題も解決する必要がある

ウクライナの現状を打破するためには、戦術的な課題も解決する必要があります。ジョシ氏は、地雷原や敵の砲兵装備の対策として、新しい地雷処理技術や電子戦能力、遠隔操作可能なロボット技術に注力することが重要であると主張しています。また、ウクライナ軍の訓練規模を拡大し、兵士の質の向上にも取り組む必要があると述べています。

出典:Генеральний штаб ЗСУ

ウクライナの問題は短期的には解決されないかもしれませんが、ジョシ氏は、ウクライナが現在の領土を守りながら問題解決の準備をし、次の攻勢に備えることが重要だと強調しています。

戦争の行方は予測できないものですが、現状を認め、技術的な課題を解決することで、ウクライナにとってより良い未来が訪れることを願ってやみません。

以上がシャシャンク・ジョシ氏による主張の要点です。ザルジニー総司令官の発言を真摯に受け止め、現状を正しく評価することが、ウクライナの問題を解決するための重要なステップとなるでしょう。