【リニア】静岡工区、着工へ一歩前進も…再び難題?川勝知事は県内でのボーリングを認めず

リニア中央新幹線の静岡工区における大井川の水資源への影響が問題となっています。しかし、JR東海が示した解決策によって、問題解決への前進が見られるかもしれません。しかし、まだ課題はあります。

「県外流出しても流量は維持される」が…

当初、JR東海のリニア中央新幹線は2027年に品川から名古屋まで開業する予定でしたが、静岡工区の着工はまだ実現していません。これは静岡県が大井川の水資源への影響や南アルプスに生息する動植物への影響を懸念しているためです。

大井川の水資源への影響において、県が最も気にしているのが、トンネル本体に先駆けて掘削する“先進坑”と呼ばれる作業用トンネルが貫通するまでの約10カ月間、湧水が山梨県側に流出してしまう問題です。この問題を指して「県外流出」という言葉が使われます。

国土交通省が設置した有識者会議は、2021年12月に「先進坑貫通までの約10カ月間に県外流出が発生した場合でも中下流域の河川流量は維持される」との報告書をまとめました。しかし、予測の不確実性や大井川流域市町の心情を考慮し、JR東海は流出量に相当する水量を大井川に戻すことを提案しています。この提案は、田代ダム案と呼ばれるもので、田代ダムの取水を抑えて、県外流出する湧水量と相殺するというものです。

大きな前進か? 切り札の“田代ダム案”

具体的には、県外への流出量を1週間ごとに測定し、結果を東京電力リニューアブルパワー(以下、東電RP)に報告します。報告された結果に基づき、東電RPは翌週に取水を抑制します。また、流出量に対して取水抑制量が不足している場合は、翌々週以降に抑制量を増やして調整する予定です。JR東海は2023年10月に東電RPとの協議がまとまり、流域市町からも賛同を得たと発表し、静岡県に正式な了解を求めています。

島田市の染谷絹代市長は、「田代ダム案の実施案については了解するということで考えている。水資源の問題は解決策が見えてきた」と述べ、川勝平太知事も11月28日の定例記者会見で「県の専門部会でも『検討に値するスキーム』との意見をもらっている。『スキームとして妥当』との意見があるので尊重したい」と容認する考えを示しました。

ただし、未決定事項も含まれているため、実現性を技術面から確認するために引き続き専門部会でJR東海との対話を進める予定です。

【画像】水問題の切り札”田代ダム案”は前進したように見えるが…

ソースリンク:日本ニュース24時間