「なぜ、娘は殺されなければならなかったのか」という疑問が浮かぶ。風俗店の女性従業員が殺害された事件の裁判で、遺族の心の叫びが明かされた。亡くなった女性は結婚直前であり、将来の夢は「40歳までに風俗の仕事を辞めてデザイナーになること」だった。しかし、彼女の夢はひとりの客の身勝手な「逆恨み」と「怒り」によって奪われてしまった。
出入り禁止処分で「輝かしい未来を奪った」
事件は2023年5月5日、子供の日に発生した。東京の「吉原地区」にある風俗店で、30代のAさんが背中や首を刺され、命を落としたのである。犯人は男性客であり、自らの腹を刺して倒れこんでいるところを従業員に発見され、その後逮捕された。2023年11月、東京地方裁判所で始まった裁判で、警備員の今井裕被告（32）は起訴内容を認めた。
被告は以下のように述べた。「彼女が持つ華やかな人生を奪ってやろうと思った」と。犯行前から、被告は2022年4月から月に1、2回のペースでAさんを指名予約していた。その風俗店は高級店であり、料金は1回あたり6万7500円（110分）。店の代表によると、Aさんは「容姿が美しく、穏やかで予約が殺到していた」人気の従業員だったのだ。
被告はまた、「自分の収入だけでは足りなかった」と述べた。親からの仕送りは総額400万円ほどあり、さらに消費者金融にも手を出していた。
検察官の質問に対し、被告は「なぜ借金を重ねてまで店に通ったのですか？」という形で言及した。「現実逃避なのかもしれません。投資に失敗したことを忘れるために、そうしたのかもしれません」と。
金銭的な問題が生じると、被告は予約をキャンセルすることが何度もあった。体調不良を装ったり、理由を明かさなかったりしていた。その都度、Aさんは丁寧に対応していたが、「キャンセルが多いと店から注意され、予約が取れなくなる」と今井被告に伝えていた。
2023年1月のメールのやり取りでは、被告は「投資に大失敗しました。2月6日はキャンセルしてください」と伝え、Aさんは「夏ごろからキャンセルが相次いでいて私の方でも予約できなくなりました」と返信していた。
その結果、指名予約ができなくなり、いわゆる「出入り禁止」の処分を受けた。当初は被告自身も「仕方がない」と納得していたという。
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