「正圓寺」乗っ取り、新たな不動産会社代表の男を詐欺容疑などで逮捕…複数のルートで寺を「食い物」にしたか

正圓寺の境内(大阪市阿倍野区)

吉田兼好ゆかりの古刹「正圓寺(しょうえんじ)」(大阪市阿倍野区)の乗っ取り事件に絡み、大阪府警は4日、寺を運営する宗教法人の代表役員に不正に就任したなどとして、新たに不動産会社代表の男を有印私文書偽造や詐欺などの容疑で逮捕した。一連の事件での逮捕者は4人目。男はこれまでに逮捕された不動産業者らとは別に乗っ取りを図った疑いがあり、府警は、同寺が複数のルートで食い物にされていた可能性があるとみて調べる。

新たな不正行為で逮捕

大阪府警が乗っ取り事件で新たに逮捕した容疑者は、不動産会社「日本フォーラム」の代表である平岡弘聖容疑者(54)です。平岡容疑者は、正圓寺の元住職である辻見覚彦被告(56)の名義を無断で利用して、偽造の総代会議事録を提出し、代表役員が自身に変更されたといううその登記をした疑いが持たれています。

(写真:読売新聞)

また、平岡容疑者は寺に対して虚偽の公正証書を提出し、関係者が預けていた約2200万円を詐取した疑いも浮上しています。府警は平岡容疑者と共謀したとして、辻見被告も再逮捕しました。

正圓寺の背後にある土地価値

正圓寺は大阪市阿倍野区に位置し、面積約1万平方メートルの敷地と隣接する宅地約1100平方メートルを所有しています。この地はあべのハルカスの南約1・5キロにあり、不動産価値は約20億円にもなると言われています。辻見被告はかつて特別養護老人ホームの建設を計画していましたが、資金難により頓挫し、多額の負債を抱え込むこととなりました。

その後、辻見被告は別の不動産会社代表の西村浩(57)と会社役員の南野潤二(55)に誘われ、差し押さえを免れる目的で土地や建物の所有権を第三者に譲渡しました。

辻見被告は平岡容疑者と知り合い、自身が譲渡した不動産を取り戻すために協力を依頼しました。平岡容疑者は今年9月に辻見被告に代わって宗教法人の代表役員となりました。この行動は不動産を寺に戻して売却し、利益を得ることを狙った可能性があります。平岡容疑者は取材に対し、「(辻見被告と)事前に意思確認をしていた。寺を残すためだった」と話しています。

【記事情報】
記事元: 正圓寺の乗っ取り事件

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