ロシアの国旗=ゲッティ
ロシアの情報機関・対外情報庁(SVR)のナルイシキン長官は7日、米国がウクライナへの支援を続ければ、ロシアとウクライナの戦争が「第2のベトナム戦争」になると述べました(ロイター通信)。ナルイシキン氏はプーチン大統領の側近の一人で、ウクライナの支援を続けることで、米国内で広がっている「支援疲れ」を助長し、ロシアに有利な形に持ち込みたい思惑があると言われています。
ウクライナが今年6月に反転攻勢を始めてから約半年が経ちましたが、期待したような戦果が得られず、前線の戦況は行き詰まっています。また、米国内の世論調査でも、支援の有効性に疑問を抱く声が増えています。
ナルイシキン氏の指摘
ナルイシキン氏は、SVRの内部向け機関誌で以下のように指摘しています。「ウクライナは、次から次に資源や人員を吸い込む『ブラックホール』になるだろう。米国は、自ら『第2のベトナム』を作り出す危険を冒しており、(バイデン政権以降の)先々の政権も対応を余儀なくされるだろう」とのことです。
第2のベトナム戦争とは
ベトナム戦争は、米ソ冷戦下の1960年代半ばに起きた戦争です。南ベトナムの親米政権を米国が支援し、北ベトナムの共産主義勢力との対立が激化しました。米国は共産主義の勢力拡大を恐れ、介入を深めた結果、戦争は泥沼化しました。この戦争に反対する反戦運動が米国内で広がり、1973年にパリ和平協定が結ばれ、アメリカ軍は撤退しました。そして、1975年に北ベトナムの勝利により戦争は終結しました。
「第2のベトナム戦争」とは、ナルイシキン氏がロシアとウクライナの戦争が同様の状況になる可能性を指摘している表現です。
[写真]日本で治療終えたウクライナの負傷兵
結論
ナルイシキン氏の警告は、ウクライナの戦況が行き詰まっている中で、ロシアが米国の「支援疲れ」を利用しようとしている可能性を示唆しています。米国は、ウクライナへの支援を継続することに慎重な検討が必要です。
【出典リンク】日本ニュース24時間