大王製紙元会長・井川意高さんのカジノでの転落劇が異例のロングセラーに

大王製紙元会長・井川意高さん

大王製紙の元会長である井川意高さん(59歳)の著書「熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録」と「熔ける 再び そして会社も失った」が異例のロングセラーとなっています。これまでに20万部以上の売り上げを誇るこの文庫版は、井川さん自身の人生や海外カジノでのバカラによる106億8000万円の損失、そして有罪判決を受けた転落劇を生々しく描いています。現在は積極的にYouTubeで活動し、若手経営者の相談役としても活躍しています。

ギャンブルの蠱惑(こわく)的な世界

井川さんによれば、ギャンブルは非常に迷惑なものでした。大王製紙の創業家の3代目として世間に知られる彼は、「バカラ」というカジノゲームに魅了されました。シンガポールの「マリーナ・ベイ・サンズ」やマカオの「ウィン・マカオ」など、富裕層が集うカジノでの死闘を繰り広げました。勝ち負けの刺激は井川さんにとってこれまでに感じたことのない強烈なものでした。彼の脳はアドレナリンなどの刺激物質を分泌し続けました。時には72時間もの間、カジノで賭け続けることもありました。「地獄の釜の蓋を開けた」と井川さんは振り返っています。

人生の波乱万丈

井川さんは1964年、日本が右肩上がりの成長を遂げていた時代に生まれました。大王製紙創業家の長男として京都で育ち、後にアメリカで過ごした後、愛媛県で暮らしました。幼少期は愛媛県の中央結節点にある約1200坪の屋敷で過ごした井川さんは、成績は良く、活字も好きでしたが、ガリ勉タイプではありませんでした。教師からは嫉妬心から「お前の工場から出ている煙は公害だ」と言われたこともありましたが、父からは製紙会社の煙は99%が水蒸気であることを教えられ、反論することもありました。

井川さんの父は非常に厳しいしつけをしており、時にはバットやゴルフクラブで叩かれることもありました。小学校5年生の時には東京で代々木ゼミナールの模擬試験で全国2位になった井川さんは、その後、東京で暮らすことになり、進学校として知られる筑波大駒場中学校・高等学校に進みました。そこでは学習指導要領を無視した授業が行われることがありました。卒業生の70%以上が東京大学に進学するという超進学校で、井川さんも現役で東京大学法学部に合格しました。

大王製紙での経験

井川さんは1987年に大王製紙に入社し、簿記を学んだり、現場での経験を積んだりしました。関連会社の経営再建にも取り組み、金融機関との厳しい交渉にも臨みました。また、おむつのブランド戦略や販売方法の見直しも行いました。井川さんは時にはダイエーの店頭に立ち、競合他社に立ち向かいました。組織の一体感が徐々に生まれていくことを実感した井川さんは、目の前の課題に集中することに努力しました。

カジノでの転落劇

しかし、井川さんの人生は予想外の展開を迎えます。2007年、わずか42歳で大王製紙の5代目社長に就任した井川さんは、週末になると海外のカジノに通い始めるようになりました。次第に賭け金は大きくなり、感覚も麻痺していきました。井川さんはお金をゲームの点数のように考えていました。ある時、150万円が23億円になったにも関わらず、彼はギャンブルを辞めることはありませんでした。「23億円で辞めないから、23億円にできる」と井川さんは説明しています。彼の誤った感覚によって、負けを引き寄せてしまったのです。

カジノではVIP待遇を受け、代理人である「ジャンケット」と呼ばれる人物に支えられていました。カジノへの交通手段から身の回りの世話まで、あらゆることをジャンケットが引き受けてくれました。しかし、井川さんの手持ちは次第になくなり、彼は関連会社からの借金を始めなければなりませんでした。大王製紙の創業家が株式の多くを保有していた関連会社7社から総額106億8000万円もの借金をしました。そして、2011年11月には東京地検特捜部によって会社法違反容疑で逮捕され、社会に大きな衝撃を与えました。井川さんは借金を完済しましたが、最高裁まで争うことになり、懲役4年の実刑判決を受けました。彼は約3年2か月の刑務所生活を送りました。井川さんの仮出所は2016年12月14日であり、偶然にもその日はカジノIR法案が成立した日でした。

今後の展望

最近では、井川さんはYouTubeなどを通じて産業構造や政治について語り、ユーザーの数も順調に増え続けています。彼は大きな失敗を経験しましたが、若手経営者からの相談にも惜しみなくアドバイスを送っています。井川さんは「鉄は国家なり、紙は文化のバロメーター」と言われた時代から考えると、自身が大手企業の社長になる必要はなかったと思っています。日本は既存産業の保護が強すぎて自己改革する力が欠けていると感じている彼は、若手経営者に対して人脈を紹介したり、アドバイスを送ったりしています。

井川さんの人生は波乱万丈であり、大きな挫折を経験しましたが、彼はその経験から多くのことを学び、成長しました。若い世代に向けて、頑張ってほしいと思っています。彼自身が政治家になることはないかもしれませんが、若い世代にエールを送っています。

以上が、大王製紙元会長・井川意高さんのカジノでの転落劇についての記事でした。これからも彼の活動に注目していきましょう。


Source link: 日本ニュース24時間