ウクライナは、抗議活動を通じて自らの未来を築こうとする若い世代を鼓舞した国だ。その最前線にいたのが、ローマン・ラトゥシュニーさんだった。2013年に発生したマイダン革命では、16歳の彼はすでに参加していた。
ローマンさんの政治的な決意は、彼がまだ少年だった頃から芽生えていた。両親は元活動家であり、ジャーナリストでもあった。彼の母スビトラーナ・ポバリャイェーバさんは作家や詩人でもあり、マイダン革命にも参加していた。
しかし、ローマンさんの決断は、クリミア併合や東部のウクライナ軍と親ロシア派の紛争の激化とともに明確になっていった。彼は環境運動や反汚職運動の活動家として注目を集め、多くの支持者やファンを抱えていた。
そして、ロシアがウクライナに侵攻したとき、彼は父親と弟とともに軍に参加した。マイダン革命から9年後のことだった。彼は若者たちの希望である民主主義のために、命をかけて戦っていたのだ。
しかし、彼自身も生きて帰ることができないかもしれないという現実をよく理解していた。ある日、彼は遺書と声明を書き、葬儀の希望や自身が生まれ育った街への思いを綴った。そして、2022年6月8日、ローマンさんは任務中に戦死した。彼の年齢はわずか24歳だった。
ローマンさんの父タラスさんは、彼が眠る墓地を訪れた際に「息子は真のヒーローだ」と語った。その日はちょうどマイダン革命から10年目の日だった。タラスさんは1日だけ帰郷を許され、翌日には戦場に戻らなければならなかった。「息子はいつも英雄だった」とタラスさんは言った。
ウクライナの英雄ローマン・ラトゥシュニーさんの勇気と犠牲は、彼の国と人々の心に永遠に刻まれることだろう。
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