「バイタルは!」「心肺停止!」夕方のスーパー、さながら救命病棟に 非番の看護師3人が連携プレーで命救う

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スーパーマーケットで繰り広げられた人命救助は、まるで救急病棟の一場面のようでした。非番の看護師3人が心肺停止に陥った男性の救命に貢献し、その功績が福岡市博多消防署によって表彰されました。救急車が到着するまでのわずか7分間、チームワークで男性の命を取り戻しました。感謝された通報者は3人の看護師を「プロの動きで、『天使』でした」と絶賛しました。

バイタルチェックから復活へ

男性がスーパーの果物売り場で倒れたのは8月21日午後5時頃でした。その光景を目の前にした久家潤子さん(52)は「助けて!」と声を上げ、すぐに119番通報しました。男性の生命力が急速に失われていく様子を振り返りながら、「どうすればいいのか分からなかった」と話します。

騒ぎを聞きつけたのはさく病院(博多区竹下)の3人の看護師、吉田奈緒美さん(28)、吉村美希さん(30)、東陽奈さん(30)でした。この日は彼女たちが休日でしたが、昼から一緒に福岡県糸島市の海へドライブし、夕食の材料を買いに来ていました。

東さんが駆けつけると、男性は意識を失っていました。自発呼吸がないことから、危険な状態だと直感しました。脈を確認すると、やはり停止していることが分かりました。東さんは即座に心臓マッサージを開始し、「バイタルは!」「心肺停止!」と医療用語が飛び交い、スーパーはまるで救急病棟のような雰囲気に包まれました。

3人のチームワークが生命を救う

3人の看護師は役割を分担しながら行動しました。

吉村さんは同行者の有無や持ち物を確認し、男性の持病などの情報を集めました。その後、東さんと交代しながら心臓マッサージを続けながら、消防署との通話を行いました。

吉田さんはスーパーの従業員に自動体外式除細動器(AED)を持ってくるよう依頼しました。心臓停止を確認した後、マッサージを一時停止し、届いたAEDを使用して心臓に「ショック」を与えました。しかし、心臓はまだ動かなかったのです。

マッサージを再開して約10秒後、男性は「うっ」と声を上げ、脈が戻りました。やがて意識が戻り、立ち上がって帰ろうとしたため、3人で彼を安静にするよう押しとどめました。

その日、東さんはタンクトップにショートパンツのマリンルックでした。必死に処置を行っている中で、頭に乗せたサングラスがずり落ちてしまい、気づかずに投げ捨ててしまったそうです。

「救わなきゃ」という一心で

3人は11月17日の表彰式で、感謝の気持ちをこめて声を揃えました。彼女たちは普段、急性期病棟で働く一線の看護師です。博多消防署の星川英一署長は「心肺停止からの救命は1分を争います。皆さんの貢献は非常に大きかったです」と称えました。男性は無事に社会復帰したとのことです。

119番通報をした久家さんの娘は、このスーパーマーケットで働いており、彼女たちの活躍は店で話題となっているそうです。

「亡くなった人が生き返ってくれました」

(水山真人)

この記事は日本ニュース24時間から提供されました。

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