「抜歯で亡くなるなんて」…支援学校生死亡、酸素チューブ誤挿入か

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堺市の歯科診療所で7月、大阪府内の特別支援学校に通う男子生徒(17)が全身麻酔で治療中、低酸素状態に陥り、約1か月後に死亡していたことが関係者への取材でわかりました。大阪府警は、気管に通して肺に酸素を送り込むチューブが誤って食道に挿入された可能性があるとみて捜査を行っています。診療所側は遺族にミスを認めて謝罪しました。

死亡した男子生徒の経緯

死亡したのは府立支援学校の高等部3年の男子生徒(大阪府大阪狭山市)です。彼は発達障害があり、治療を受けるために障害者向けの歯科診療所を訪れました。

専門医によると、発達障害を持つ患者には通常、全身麻酔下で治療が行われます。治療中にチューブの挿入ミスがないかを確認するため、血中の酸素飽和度や呼気中の二酸化炭素濃度を定期的に確認する必要があります。

診療所から提出された報告書によると、歯科医は同意を得て午後1時過ぎに抜歯手術を実施しました。麻酔のため、肺に酸素を送るためのチューブを鼻から挿入しましたが、低酸素状態に陥りました。血中の酸素飽和度は通常96%以上であるべきですが、20%代まで低下していました。約1時間半後には心肺停止状態となり、病院に搬送されましたが、8月9日には低酸素脳症のため死亡してしまいました。

遺族への対応

遺族によると、診療所から連絡があり、数日後に歯科医と面会しました。当時の経過を記した報告書を渡され、チューブの誤挿入の可能性を指摘され、謝罪を受けたとのことです。また、生徒が亡くなった8月にも面会し、原因を尋ねたところ、「判断ミスだった」と繰り返され、具体的な説明はありませんでした。

日本歯科大の砂田勝久教授(歯科麻酔学)は、「血中の酸素飽和度が下がった時点でチューブが食道に誤挿入された可能性を疑い、挿管し直すべきだったのではないか」とコメントしています。

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