企業向け保険業界でのカルテル疑惑!公正取引委員会が損害保険大手4社に立ち入り検査を実施しました。
カルテル疑惑の詳細
公正取引委員会は、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査を行いました。公取委は、これらの保険会社が企業向け保険で価格調整を行い、保険料全体の上昇につながったと判断しています。さらに、4社に対し課徴金納付命令も視野に入れながら調査を進める方針です。
疑惑のカルテル構図
4社は、コスモエネルギーホールディングス、コスモ石油、JERA(ジェラ)、京成電鉄、エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、東京都などへの保険契約で価格調整が疑われています。特に、あいおいニッセイ同和損害保険以外の3社は、シャープに対しても価格調整が行われたとされています。各社が支払っていた年間の保険料は約5億~80億円にも上ります。
4社に対する立ち入り検査は、企業向け保険業界で初めての事例です。疑惑のカルテルに協力していたとみられる代理店2社も検査の対象となりました。
カルテルの手口
疑惑のカルテルは、少なくとも10年以上前から企業向け保険業界で行われていたものです。特に火災保険において大きな動きがありました。
企業向け保険契約では、各社が共同保険という方式を採用しており、事故時の支払いリスクを分散させています。しかし、4社は共同保険の仕組みを利用して価格調整を行っていたとされています。
また、東京都との契約においては、保険対象ごとに単独保険の受注企業を決めて価格調整していたという手口も明らかになりました。調整には各社の入札担当者や管理職が関与し、メールや対面で行われていたとのことです。
損害保険業界は1990年代以降の再編成によって、4社が市場シェアの約9割を占めるほどの寡占化が進んでいます。公正取引委員会は、このような事情がカルテルの形成につながったと考えています。4社は「調査に協力していく」とコメントしています。
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【渡辺暢】