ロシアでは、ウクライナ侵攻をきっかけに保守化が進み、国民の生活も大きく変わっています。その中で、女性の中絶権という問題も影響を受けています。
ロシアの中絶問題
ロシアは何十年もの間、中絶が合法であり、社会的な分断が起きることはほとんどありませんでした。しかし、最近では状況が変わりつつあります。
各地ではロシア正教会の要求を受けて、民間クリニックでの中絶を規制しようとする動きが広まっています。一方で、国営クリニックを運営する保健当局は、政府の方針を強化し、女性たちに中絶を思いとどまらせようとしています。
政府は出生率の向上を目指していると公言していますが、権利活動家たちは、これはウクライナ侵攻後の広範な弾圧の一環であると考えています。
ジョージアに亡命中のフェミニスト活動家、レダ・ガリーナ氏は、「戦争中の国家には、この種の法律が常につきまとう」と指摘しています。今回の措置は、ロシアの女性たちに対し、「家にいて、もっと兵士を産め」という明確なメッセージだと話しています。
プーチン大統領の発言
中絶に関して、プーチン大統領は先週、禁止には反対するものの、中絶は国益に反すると発言しました。彼は女性たちに対して、「子どもの命を守ってほしい」と訴えています。
人口減少が急速に進む中、プーチン大統領は1990年代以降、出産を促すための経済的な奨励策を打ち出してきました。しかし、ウクライナ侵攻以降、その意味合いには新たな変化が生じています。
「国家の存続」という視点
政治アナリストのタチアナ・スタノバヤ氏によれば、中絶は今や「国家の存続問題と見なされている」ということです。彼女はまた、プーチン大統領が政府方針に抵抗するあらゆる社会的立場について、西側諸国の策略だと考えていると指摘しています。中絶もその一部であり、女性に中絶させることは、ロシアの人口問題を悪化させようとする西側の策略だと述べています。
政府系のクリニックでは、長年にわたり女性に中絶を思いとどまらせるための相談会が実施されてきました。しかし、保健省が新たに発表した医師向けの勧告は、より強引な方法を推奨していると報じられています。
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