米国発「習近平失脚説」の根拠とは?中国軍粛清や健康不安、長老支配の噂

最近、米国の官僚やメディアの間で、中国の習近平国家主席に関する「失脚説」が取り沙汰されています。これは、中国人民解放軍高位幹部の相次ぐ粛清や健康不安説などが根拠として提示されているものです。

米国元高官らが示唆する権力変動

ドナルド・トランプ前政権で国家安全保障担当補佐官を務めたマイケル・フリン氏は、6月27日(現地時間)に自身のソーシャルメディアを通じて、このような習氏の失脚説を主張しました。フリン氏は、中国共産党の核心構成員、特に国民や国家安全保障部門における信頼の喪失に注視する必要があると指摘し、「中国で明らかに権力移動が起きている」と記しました。さらに、このリーダーシップの変化が「途方もない結果を招くことになる」と警告しました。

フリン氏は投稿に、習氏の後継者を象徴するかのように、丁薛祥・国務院副首相、陳吉寧・上海党書記、張又侠・中央軍事委員会副主席の3人の写真を掲載しました。

台湾メディアが報じる軍内部の動き

これに関連し、台湾の自由時報は6月30日、最近の中国軍部の動きに注目しました。習氏の側近とされる何衛東氏、苗華氏が失脚した背景に、軍部内の暗闘の可能性が浮上しているといいます。自由時報は、習氏がこれら2人を前面に出し、軍部実権者である張又侠氏とその側近を粛清しようとしたものの、かえって側近を失脚させ、軍事力掌握に失敗したと報じました。

自由時報はさらに、「習近平は中央軍事委員会主席を維持しているが、名目上にすぎない」と指摘。反対派との交渉により、習氏が退く条件として、側近の丁薛祥が総書記、胡錦濤前主席の支持を受ける陳吉寧が首相、張又侠が中央軍事委主席を務め、集団指導体制を復元することで合意した、と失脚説のシナリオを解説しています。一部では、習氏の影響力が強い丁薛祥の執権を防ぐため、汪洋前政治協商会議主席、胡春華副主席などが代案として議論されているとも報じられています。これら2人は胡錦濤氏ら元老が支持する人物とされます。

健康不安説と長老支配の可能性

中国事情に詳しい米国の元バミューダ駐在大使グレゴリー・スレイトン氏も、ニューヨーク・ポストに寄稿した記事で習氏の失脚説に触れています。スレイトン氏は、習氏の健康が不安定であり、8月の党中央委員会第4回全体会議(4中全会)で引退するか、あるいは名前だけの職責を維持する可能性があると予想しました。また、2022年に習氏から屈辱的な扱いを受けた胡錦濤氏ら元老が、水面下で権力を掌握したと主張しています。

カザフスタン・アスタナでの中国-中央アジア5カ国首脳会談に出席する習近平国家主席カザフスタン・アスタナでの中国-中央アジア5カ国首脳会談に出席する習近平国家主席

失脚説を裏付けるその他の兆候

さらに、失脚の兆候として挙げられているのが、習氏の父親である習仲勲を賛える記念館が名称変更されたことや、5月末から6月初めにかけて党高位幹部が外国高位要人と面会した際に習氏の動静が報じられなかった点、そして党機関紙である人民日報が習氏関連のニュースを掲載しない時期があった点などです。

まとめ

米国の一部の官僚やメディアの間では、中国の習近平国家主席の失脚説が浮上しており、軍部内の動きや健康不安、党元老の影響力などがその根拠として挙げられています。複数の情報源が異なる角度からこの可能性を示唆していますが、現時点では憶測の域を出ておらず、今後の中国国内の動向が注目されます。

参考資料: