北九州市長、対立いとわず強気姿勢 ちらつく重鎮・麻生氏の存在

北九州市の武内和久市長が市議会に対して強気の姿勢を見せています。特に最大会派の自民市議団とは、次期衆院選福岡9、10区での公認候補選考から漏れ、無所属で出馬しようとしている市議2人の支持を表明したことなどで対立が生じています。この強気の背景には、自民重鎮の麻生太郎副総裁の存在もちらついており、市政運営で主導権を握ろうとしているとの見方が出ています。

北九州市長の強気姿勢

武内市長は次期衆院選で9区は三原朝利市議を、10区は大石仁人市議を支持する理由を明言しました。2市議は自民所属ですが、自民が9区の候補予定者を選ばず、10区に吉村悠県議を選んだため、2市議が無所属で出馬しようとしていることに反発があります。しかし、武内市長は2市議を支持する理由について、「誰かを応戦すると誰かを向こうに回すのは選挙につきもの。自民と相いれないという意味では全くない」と述べています。実際、2市議は市長選で自民の決定に反し、無所属で出馬した武内市長を支援し、初当選させました。このため、2市議は武内市長と共通の政治理念を持つ「盟友」とされています。

一方、自民内では不満が募っています。特に10区は大石氏が無所属で出馬すれば保守分裂となり、武内市長と自民の対決を避けられず、立憲民主党の候補に漁夫の利を与えかねません。自民関係者は「市長選のしこりが尾を引いているのは間違いない」と話しています。

市議会のあつれき

市長と市議会の対立は次期衆院選の対応に限られていません。10月30日に予定されていた市長への来年度予算要望も、当日の午前中に市議団にキャンセルされました。このため、市議団内からは「議会軽視だ」「今までこのようなことは一度もなかった」との批判が上がりました。

なぜ武内市長は強気に出られるのか。一部の市議が「次期衆院選で特定の政治家の応援を表明することで、国とのパイプが細くなるのではないか」とけん制しても、武内市長は「官僚時代に培った人脈があり、(彼らが)各省庁の幹部になっている」と自信ありげに答えました。武内市長は東大法学部卒で厚生労働省出身であり、関係者によれば、「電話1本で動いてくれる人が霞ケ関の中枢にたくさんいる」とのことです。

また、武内市長は2019年の県知事選で自民の推薦を受けていながら落選し、市長選では自民の支援を受けずに初当選しました。県知事選で麻生氏との関係が続いているとされ、北九州空港の滑走路延伸工事の着工式でも麻生氏は武内市長に激励の言葉をかけました。

まとめ

武内市長の強気の姿勢に戸惑う自民市議団ですが、市議会内では武内市長への不信感がくすぶっています。ただ、市議選が控えているため、市議団内でも武内市長と対立することで市民から悪く見られたくないという意識があります。

武内市長は既成政党に頼らずに初当選し、自らの政治理念と政策を貫くことで民意を味方にできると言われています。これにより、健全な緊張感を持って市政を進めることができると期待されています。

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