ハン・ガン氏ノーベル賞受賞に一部保守団体が抗議活動。「国の恥」と非難の声も

韓国人作家ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞に、国内の一部保守団体から批判の声が上がっている。

2024年10月14日、韓国の一部の保守団体が、ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞に反対する抗議活動をソウル市内の駐韓スウェーデン大使館前で行いました。彼らは、ハン・ガン氏の作品の一部が歴史を歪曲していると主張し、ノーベル賞を授与したスウェーデン・アカデミーを非難しました。

抗議活動の内容とネット上の反応

ハン・ガン氏ノーベル賞受賞に一部保守団体が抗議活動。「国の恥」と非難の声も

報道によると、抗議活動に参加したのは「大韓民国愛国団体協議会」「国家非常対策国民委員会」「太極旗革命国民運動本部」など6つの保守団体で、参加者は10人ほどだったとのこと。彼らは「大韓民国歴史歪曲作家ノーベル賞、大韓民国赤化加担スウェーデン・アカデミー糾弾」と書かれた横断幕を掲げ、「フィクションとノンフィクションの区別がつかない未来世代に誤った思想が刻み込まれことを考えれば胸が張り裂ける。偏向した歴史歪曲の肩を持つ、ノーベル賞の権威を失墜させたスウェーデン・アカデミーを糾弾する」などとする声明を発表しました。

この抗議活動の様子は、オンラインコミュニティやYouTubeなどで拡散され、多くの批判が寄せられています。「国の恥だ」「世界に恥ずかしい」「立派な作家をさらに励まして祝ってあげるべき時に、年配者たちは何をやっているんだ」といった声や、「外国人が見ると心配になる」といった声も上がっています。

ハン・ガン氏の作品と歴史認識問題

ハン・ガン氏は、韓国の現代文学を代表する作家の一人で、2016年に『菜食主義者』でブッカー国際賞を受賞しています。2022年には、韓国の民主化運動を描いた小説『少年が来る』が、英米などでベストセラーになりました。しかし、その一方で、作品に登場する歴史的事実の解釈などを巡って、韓国国内では賛否両論が巻き起こっています。

今回の抗議活動を行った保守団体は、ハン・ガン氏の作品『少年が来る』や『別れを告げない』などが、それぞれ5・18光州民主化運動と済州4・3事件を扱っていることを問題視しています。彼らは、これらの作品が歴史を歪曲していると主張し、ノーベル文学賞の権威を失墜させるものだと批判しています。

ノーベル文学賞受賞に対する韓国社会の反応

ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞は、韓国社会に大きな衝撃と感動を与えました。しかし、その一方で、一部からは受賞に反対する声も上がっています。今回の抗議活動は、韓国社会における歴史認識問題の根深さを改めて浮き彫りにするものとなりました。