10代が手を染める薬物密輸・密売の衝撃実態:元麻薬取締官が警鐘

近年、日本で10代による薬物密輸・密売が急増し、社会に深刻な懸念が広がっている。富山県では10月までに16〜21歳のグループが摘発され、多種多様な薬物が押収された。福岡県でも高校生らがTHCリキッド14キロ(乾燥大麻70キロ超)をタイから密輸したとして逮捕されるなど、若者の薬物犯罪への関与が顕著だ。

若者による薬物密輸の増加を示すイメージ写真若者による薬物密輸の増加を示すイメージ写真

令和の日本における薬物犯罪の新たな潮流

「なぜ10代の若者ドラッグ密売に手を染めるのか」――この問いこそが、令和の日本における薬物犯罪の新たな現実を示唆している。もはや都市か地方か、背後に暴力団や「トクリュウ」がいるかといった背景は関係ない。SNSとスマホさえあれば、「誰でも、どこにいても、どんな薬物でも使用、密輸、密売できる」時代が到来しているのだ。これは現代社会の深刻な闇だ。

「アルバイト感覚」で国際密輸に手を出す若者たち

実際、筆者も薬物密輸が絡む事件の相談に応じている。「ふつうの女子大生」が、高額な売掛金返済のため薬物の運び屋となり、海外で行方不明になったという悲劇。まるで「アルバイト感覚」で密輸に手を出し、結果的に自らが事件の被害者となる、あまりに刹那的なストーリーだ。この事例は、若者国際犯罪に安易に巻き込まれる危険性を浮き彫りにする。

女子大生が体内に隠匿した薬物のグロテスクな形状を示す写真女子大生が体内に隠匿した薬物のグロテスクな形状を示す写真

希薄化する薬物への危機意識と「使用」から「密売・密輸」への境界線

インターネット社会の拡大とグローバル化が進む中、若者薬物に対する危機意識は著しく希薄化。安易な気持ちで薬物使用に走るケースが多発し、「使用」という犯罪と「密売」「密輸」という重大犯罪の境界線が曖昧になっている。日本薬物犯罪深刻化が進むこの現実を、読者の皆様に強く訴えたい。

今回紹介した女子大生の薬物密輸エピソードは、相談者の姉の承諾を得て一部状況を変更しつつも、現在の薬物犯罪が持つ危険な実態を浮き彫りにしている。10代を含む若者が薬物の誘惑に安易に流されず、その深刻な危険性を認識するよう、社会全体の啓発と具体的な対策が喫緊に求められている。


参考文献: