石破新内閣、発足早々支持率低迷で正念場!衆院選への影響は?

時事通信が10月に実施した世論調査で、石破茂首相の就任後初となる内閣支持率は、わずか28.0%にとどまりました。危険水域とされる2割台での船出となり、早くも新政権への期待感が薄れている現状が浮き彫りとなりました。27日投開票の衆院選を控える与党内には、動揺と危機感が広がっています。

支持率低迷の背景に「派閥裏金」と「発言のぶれ」

今回の支持率低迷の要因として、石破首相が直面している「派閥裏金事件」と、度重なる「発言のぶれ」が指摘されています。

石破茂首相が演説を行う様子石破茂首相が演説を行う様子

首相は17日、長野県佐久市で行った自民党候補の応援演説で、「極めて厳しい選挙だ。かつてない逆風の中でやっている」と現状を認め、「どうぞお許しください」と派閥裏金事件について陳謝しました。

首相側近は「誰がやっても今は厳しい」と話し、裏金事件への批判がやまない状況へのもどかしさをにじませています。しかし、2000年以降の内閣発足時の支持率で最も低かった森喜朗内閣(33.3%)をさらに下回ったのは、裏金事件だけでなく、首相の発言が次々とぶれて「変節」批判を招いたことも影響しているとみられます。

世論調査で「内閣を支持しない」と答えた理由として最も多かったのは「期待が持てない」で、次いで「首相を信頼できない」でした。「選挙の顔」として自民総裁に選ばれたはずの石破首相ですが、「ご祝儀相場」「ハネムーン」と呼ばれる高揚感は、既に消え去ってしまったようです。

公約違反?政策や解散時期での「ぶれ」が信頼を失墜

石破首相は総裁選で、国会の予算委員会で野党との本格論戦に臨んでから衆院を解散する意向を示していましたが、その「約束」を反故にしました。金融所得課税強化や選択的夫婦別姓制度導入など、政策面の発言も後退しています。自民党若手からは「裏金はもちろんだが、首相のぶれや発言の分かりにくさが影響している」との見方も出ています。

衆院選への影響は?単独過半数割れの可能性も

衆院選に関する報道各社の序盤情勢調査では、自民党の単独過半数割れの可能性も伝えられています。党関係者は今回の世論調査を踏まえ、「特に比例代表は苦しい戦いだ。単独過半数割れは織り込み済みで(公明党と合わせた)与党過半数が防衛ラインだ」と語っています。

記者団の質問に答える石破茂首相記者団の質問に答える石破茂首相

公明党の石井啓一代表は埼玉県草加市で記者団に対し、「首相がそもそも厳しい選挙だと言っている」と述べ、気を引き締めました。

一方、総裁選で石破首相の対立陣営に加わっていた閣僚経験者は「だから石破氏を首相にしたらいけなかった。選挙後は倒閣運動もあり得る」と警告しています。衆院選で議席を大きく減らせば首相の求心力は低下し、支持率の下降傾向に拍車がかかりかねません。石破政権は、発足早々正念場を迎えています。

野党は「政治改革の不徹底と政策の実行力不足」と批判

立憲民主党の小川淳也幹事長は、今回の世論調査結果について「政治改革の不徹底と、政策の実行力に対する不信感の表れだ」と指摘。「われわれが受け皿とならねばならない」と述べ、与党を過半数割れに追い込む決意を示しました。

石破新内閣は、今後、厳しい世論と向き合いながら、衆院選を戦い抜かなければなりません。国民の信頼回復に向け、具体的な政策を実行できるかが問われています。