ワコール接客方針に賛否両論、多様性と安全性の両立は?

近年、LGBTQをはじめとする性的マイノリティへの理解が深まり、企業にも多様性への配慮が求められています。そんな中、下着メーカーのワコールが発表した従業員向け接客方針が、SNSを中心に議論を呼んでいます。

多様な顧客への対応を強化

ワコールは2024年8月7日、公式サイトで従業員向けの接客方針を公開しました。この方針は、LGBTQや障害者、高齢者など、多様な顧客にとって利用しやすい売り場作りを目指したものです。

ワコール公式サイトワコール公式サイト

具体的には、「性別にかかわらず、お客様のご要望をお聞きしながら、商品選びのご相談に対応する」という基本方針が示されています。また、性別にかかわらず利用できる試着室がある場合は、案内することも明記されました。

試着室の利用に関する懸念の声

しかし、この方針に対して、一部からは「試着室にカメラが仕掛けられる可能性もある」「下着売り場に男性がいるのは怖い」「女性従業員が性被害に遭う危険性がある」といった懸念の声も上がっています。

従業員向け接客方針従業員向け接客方針

これらの批判を受け、ワコールホールディングスは16日、J-CASTニュースの取材に対し、「女性インナーウェア売場におけるフィッティングルームの利用やフィッティングルーム内での接客は、外見や会話内容から判断し、女性だと確認が取れたお客様に限らせていただくことに従来から変更はございません」と回答。公式サイトにも同様の記載があったことを説明しました。

多目的試着室の設置など、柔軟な対応へ

一方で、ワコールでは、性別にかかわらず利用できる試着室を設けている店舗もあるとのことです。状況に応じて他の売場の試着室が利用できる場合は、そちらへ案内するとしており、多目的試着室や近隣の紳士・スポーツ売場などを例に挙げました。

同社は、「今後につきましても一人ひとりのお客様に寄り添い、それぞれのお困りごとに合わせた柔軟な対応を心がけていきたい」としています。

多様性への配慮と安全性の確保は、企業にとって重要な課題です。ワコールの接客方針は、この難しい問題に対する一つの取り組みと言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。