元極道、最期の住処は?介護問題から見える意外な価値観

「任侠映画のような世界」と聞いて、巨額の富や豪勢な暮らしを想像する人は多いでしょう。しかし、老いと病気は誰にでも訪れるもの。華やかな世界に生きてきた元極道たちも、晩年は介護問題という現実と向き合わなければならないのです。

組織が生んだ歪んだ家族観

ノンフィクションライターの甚野博則氏の著書『ルポ 超高級老人ホーム』が話題となっています。富裕層が最後の棲家として選ぶ高級老人ホームですが、元極道たちの姿は見当たりません。彼らは一体、どのような老後を過ごしているのでしょうか?

暴力団取材のエキスパートである鈴木智彦氏によると、元極道たちは高級老人ホームに入ることを嫌う傾向があるといいます。それは、彼らが組織の中で培ってきた独特の価値観と関係しているようです。

「金で解決できない問題はない」という考え方が根強い暴力団社会では、介護も身内で担うのが当然とされています。外部の介護サービスを利用することは、「家族にすら面倒を見てもらえないのか」と周囲から嘲笑の対象になりかねないのです。

プライドが許さない「他人からの世話」

元極道たちは、たとえ体が弱っても、他人に「下の世話」をされることを極端に嫌います。それは、彼らがこれまで築き上げてきた「強さ」の象徴であると同時に、組織における上下関係やプライドがそうさせているのかもしれません。

実際、かつては組長クラスになると、風俗店に行くことすら避ける傾向があったといいます。それは、「金で女性を抱いている」と陰口を叩かれることを恐れていたためです。このような歪んだ価値観は、介護問題においても同様に見られます。

静かに最期を迎える元極道たち

鈴木氏によると、表舞台から姿を消した元極道の中には、ひっそりと老人ホームで暮らしているケースもあるといいます。しかし、その数は決して多くありません。

元極道にとって、介護問題は単なる生活の困りごとではなく、彼らのアイデンティティやプライド、そして組織で培ってきた価値観が複雑に絡み合った問題なのです。

[元極道、最期の住処は?介護問題から見える意外な価値観

かつては権力と富を手にした元極道たち。しかし、老いという現実の前では、誰しもが等しく無力な存在となるのかもしれません。]

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