日本の生活保護:申請増加と保護率低下の影に潜む「水際作戦」の実態とは?

近年、日本では生活保護の申請件数が4年連続で増加し、2023年度には25万件を超えました。しかし、その一方で、実際に生活保護を受給している人の数は年々減少傾向にあり、202万5777人にとどまっています。一体なぜこのような矛盾が生じているのでしょうか?

生活保護制度とは?

生活保護制度とは、病気や障害、失業など様々な事情で収入が少なく、日常生活を送ることが困難な人を対象に、国が最低限度の生活を保障する制度です。

生活保護の支給内容生活保護の支給内容

例えば、東京23区に住む単身世帯の場合、月額約12~13万円の支給を受けられます。

保護率低下の影に「水際作戦」?

生活保護の申請件数は増加しているにも関わらず、保護率が低下している現状について、専門家の間では「水際作戦」の存在が指摘されています。

「水際作戦」とは、本来であれば生活保護を受ける資格があるにも関わらず、窓口で担当職員が申請を断念させるように仕向ける行為を指します。

水際作戦のイメージ水際作戦のイメージ

例えば、申請者に連絡義務のない親族への連絡を促したり、劣悪な環境の仮住まいを提示して諦めさせようとするケースが報告されています。

水際作戦の背景にあるもの

なぜ、このような水際作戦が行われてしまうのでしょうか?

専門家の分析によると、生活保護に対する誤解や偏見、そして自治体の財政負担への懸念などが背景にあると考えられています。

例えば、「生活保護は甘え」といった誤った認識や、「生活保護費は税金でまかなわれている」という事実から、受給者数を抑制しようとする意識が働く可能性も指摘されています。

まとめ

生活保護は、憲法で保障された国民の権利です。水際作戦によって、本当に支援を必要としている人が制度を利用できない状況は、早急に改善されなければなりません。

生活保護制度に対する正しい理解を広めるとともに、誰もが安心して暮らせる社会の実現に向けて、更なる取り組みが求められています。