(CNN) 英人気ボーイズバンド、ワン・ダイレクションのリアム・ペインさんの死が実感を伴って感じられるようになる中、家族や友人、元バンド仲間は依然、悲痛な死の意味を理解しかねている状況だ。当局はペインさんの最期や転落死を巡る状況について捜査を進めている。
ペインさんは16日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるホテルの3階から転落死した。31歳だった。
18日の時点で地元警察の捜査は続いており、詳しい情報が少しずつ浮かび上がる中で真相究明が進められている。
アルゼンチン検察は17日、「あらゆる情報から、ペインさんは転落時に一人きりだったことがうかがえる」と説明。検察はまた、依存症や心の健康の問題を公にしていたペインさんについて、転落時に「薬物乱用に起因する何らかの出来事を経験」していた可能性があると指摘した。
ブエノスアイレス警察が16日に公開した写真には、ホテルの室内の物が散乱したテーブルが写っている。正体不明の白い粉末や、くしゃくしゃのアルミホイル、ライターなどが散らばっており、テーブル上には焼け焦げた跡も見える。
警察はまた、転落時のペインさんは意識がはっきりしていなかった可能性があるとの見方を示す。報告書は「遺体が見つかった位置や転落による傷から判断すると、ペインさんは反射的に身を守る姿勢は取っていなかったと推定され、意識が薄れた状態か、完全な意識不明の状態で落下した可能性がある」としている。
捜査を統括する検察官は、初期検視報告書でペインさんの死因について複数の重傷や、転落による「内出血および外出血」と断定されたことを確認した。
17日には、死亡前の数時間にペインさんを目撃したと思われる6人が、捜査の一環で地元警察に証言した。
当局が18日のCNNの取材に明らかにしたところによると、証言したのは女性2人とペインさんのマネジャー1人、ホテルの従業員3人。検察によると、女性2人はホテルの部屋でペインさんと一緒にいたが、死亡時には立ち去っていたという。
死亡時にペインさんがアルコールなどの影響下にあったかを判断する目的で毒物検査も行われているが、まだ結果は出ていない。
ブエノスアイレス警察は16日、スタッフから緊急通報が寄せられたことを受けてホテルに出動した。通報は宿泊客が「薬物やアルコールで手を付けられない状態になっている」との内容で、スタッフは「命に関わる」状況だと心配を漏らしていた。CNN提携局トド・ノティシアスが緊急通報の内容を入手した。
検察が後に発表した報告書では、ペインさんの部屋から一連の薬物が押収され、「アルコールや薬物を摂取していた以前の状況を示唆」している可能性があるとしている。
ペインさんが部屋のバルコニーから自ら飛び降りたのか、事故で落下したのかは依然として不明。
ブエノスアイレス警察はこれより前、AP通信に寄せた声明で前者との見方を示したが、この結論に至った経緯については詳細を明かさなかった。CNNの取材に対しては、検察にさらなる情報を求めるよう呼び掛けた。
ワン・ダイレクションの結成は2010年。プロデューサーのサイモン・コーウェル氏が英国のオーディション番組に出演した各メンバーの音楽の才能に気づき、グループにまとめた。
グループ結成後に急速に人気が高まり、ヒット曲を連発。熱心なファンからは「1D」と呼ばれ、デビューから4アルバム連続でビルボード200の1位に輝いた初のバンドとなった。