京都の景観を脅かす外国人投資:無許可営業や風致地区条例違反の実態

古都の景観が危機に?外国人投資の影

近年、世界的な観光地である京都では、外国人観光客の増加に伴い、外国人投資による不動産購入が急増しています。これは円安の影響もあり、ビジネスチャンスと捉える外国資本が京都に殺到しているためです。しかし、その一方で、観光客向けのビジネスが過熱し、様々な問題を引き起こしているのも事実です。

京都の街並み京都の街並み

無許可営業、風致地区条例違反…後を絶たないトラブル

NEWSポストセブンでは、9月中旬に「シャトレーゼのケーキ転売問題」を報じました。これは、中国人系オーナーが経営する嵐山のカフェが、シャトレーゼのケーキを無断で販売していたというものです。

また、別の中国人系オーナーが経営するレストランでは、「京都市風致地区条例」に違反する増築を、行政からの再三の命令にも関わらず続けていたことが発覚しました。

行政の対応は?所有者変更などで追いつかず

このような事態に対して、行政は強制力を持って対応することが難しいのでしょうか。「風致地区条例」を管轄する京都市都市計画局の都市景観部風致保全課に問い合わせたところ、「該当の土地に関して命令を行い、その後も対応を続けているのは事実です。しかし、所有者の方が弁護士をつけていたり、土地の所有者を変更したりという対応をしてきており、罰金などの具体的な罰則を課すまで至っていないのが現状です。今後も、関係法令を含めて作戦を練り、警察とも連絡をとって対応を続けてまいります」とのことでした。

土地の所有者が変わるたびに改めて命令を出し直す必要があり、対応が後手に回ってしまうようです。

京都市議「人口流失の一因になり得る」

外国人の土地購入問題に取り組むきくち一秀・京都市議は、「外国資本が京都の不動産を買っているという相談は寄せられています。特に、京都市の観光客が集まるエリアに多いようです。中京区の御池通にあるマンションが夜になると真っ暗だという声をいただくんですよ。資産運用で購入されているため人が住んでいないことが問題で、これが京都の人口流失の一因になり得ます。不動産価格が高騰し、新たに不動産を購入して住むことが困難になってしまうのです。また、ゴミ出しのルールが守られていない、話し声がうるさいといったトラブルも発生しています」と現状を語っています。

そして対策については、「住民の方の各々に事情があり、大きな金額を提示されると心が動いてしまうのは仕方がないことだと思います。ですから、オーストラリアや韓国、アメリカのように国が外国資本の不動産購入に制限をかける仕組みづくりが必要だと考えています。今年の3月には、議会に意見書を提出するなど働きかけを行なっています」と述べています。

「京都の風情がなくなってきている」地元商店主の訴え

右京区で商店を営む店主は、「とにかく私が思うのは、今こうやってどんどん土地を買い占められていって、京都の風情がなくなってきているということです。このままこのあたり一帯が外国人に買い占められたら無法地帯になってしまう…私は何があってもこの店を守り続ける」と率直な思いを口にしました。

京都の未来のために

前出のレストランBのオーナーに「風致地区条例違反」の公示がありながら営業を続けていることや、今後の対応について質問状を送りましたが、期日までに回答が返ってくることはありませんでした。

794年に平安京に遷都して以来、長らく日本の首都であり続けた京都。その京都の現状に、今一度目を向ける必要があるのではないでしょうか。