【ガザ地区】19歳青年、避難先の病院で焼死…「夢を奪われた」と悲しみの声

イスラエルとハマスの戦闘が続く中、ガザ地区の病院敷地内で19歳の青年が焼死する痛ましい事件が発生しました。国際社会からも非難の声が上がっています。

病院敷地内で起きた悲劇

10月14日、ガザ地区中部のデイルアルバラにあるアクサ殉教者病院。多くの避難民が身を寄せるこの病院敷地内で、シャバン・アルダルさん(19)が炎に包まれ命を落としました。

アルダルさんは、海外でソフトウェア分野の博士号取得を目指し、ガザシティのアルハズアール大学で勉学に励む大学生でした。しかし、戦火は彼の夢を奪い、避難生活を余儀なくされます。

彼はSNSで「戦争を止めてほしい」と訴え、避難所の窮状を動画で発信し、オンライン募金で支援を呼び掛けていました。

イスラエル軍による空爆が原因か

イスラエル軍は「病院団地を空爆したのは、ハマスの指揮センターを攻撃するためだった」と発表しています。しかし、病院の駐車場にいたアルダルさんを含む避難民に火の手が回り、多くの犠牲者が出てしまいました。

米紙ニューヨーク・タイムズは、「アルダルさんたちは、イスラエルが国際法で禁じられている医療施設への攻撃を控えるものと信じて、病院横にテントを張っていた」と報じています。

叔母「すべてがうまくいくと…」

アルダルさんの叔母カルバハンさんによると、彼は「自分だけが脱出してから、妹や兄弟、両親を助け出す方法を探していた」といいます。

海外の支援者と連絡を取り、2万ドル以上の脱出資金も集まりましたが、イスラエルがエジプトとの国境にあるラファ検問所を閉鎖したため、脱出は叶いませんでした。

それでもアルダルさんは希望を捨てず、ニュースでネタニヤフ首相の演説を分析しては、「すべてがうまくいく」と家族を励ましていたそうです。

10日前には、イスラエルのイスラム寺院で起きたテロ事件にも巻き込まれましたが、奇跡的に無傷で生還しました。しかし、最後は炎の中で帰らぬ人となりました。

国際社会から非難の声

アルダルさんをはじめとする避難民が命を落とす瞬間を捉えた映像は、世界中に衝撃を与え、イスラエルへの非難の声が高まっています。

アメリカのリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、「イスラエルは、たとえハマスが病院近くで活動していたとしても、民間人に危害を加えないよう最大限の注意を払う義務がある」と強く非難しました。

ガザ地区保健省によると、イスラエル軍の攻撃による死者は後を絶たず、医療現場は崩壊の危機に瀕しています。

ガザ地区の現状ガザ地区の現状

アルダルさんの悲劇は、ガザ地区で起きている戦争の悲惨さを改めて浮き彫りにしました。一日も早い停戦と、平和な日常が戻ることを願うばかりです。