ガザ紛争:戦火を逃れた新生児たち、エジプトでの再会と苦悩

イスラエルとハマスの戦闘が激化する中、ガザ地区最大のシファ病院から28人の新生児がエジプトに避難しました。2023年11月のことです。病院はイスラエル軍の攻撃により「死の領域」と化し、水や燃料、医薬品も不足する深刻な状況でした。

エジプトでの新生児たちの現状

避難した新生児たちは、カイロ郊外の養護施設で看護師の献身的なケアを受けています。しかし、戦時下の混乱の中、保護者を伴わずに避難した新生児も多く、身元確認が難航しました。

看護師のムハンマド・ラードさんは、「全員生き延びられないと思った」と当時の状況を語ります。避難時の新生児たちは、低体重で骨が浮き出ているような状態でした。その後、エジプトで10人が亡くなり、生き残った新生児たちも厳しい環境が原因で、多くの新生児が障害を抱えています。

保護者との再会

保護者の所在確認が進み、一部の家族は再会を果たしました。しかし、家族全員が死亡していたケースや、いまだに保護者が見つかっていないケースもあります。

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ガザ北部ジャバリヤに住むシャイマさんは、爆撃音響くなかシファ病院で娘キンダちゃんを出産しました。早産だったため、キンダちゃんはすぐに保育器へ。シャイマさんも別の病院の集中治療室へ移され、親子は離れ離れになってしまいました。

その後、エジプトに避難した娘と再会できたシャイマさん。しかし、ガザに残る夫は、いまだに娘に会えずにいます。「夫は娘に一度も会えずに死ぬことを恐れている」とシャイマさんは語ります。

平和への願い

ガザ市に住むハラ・アルークさんも、避難した娘を追ってエジプトへ。4歳の息子は「お父さんはいつ来るの?」と繰り返し尋ね、時には「お母さん、銃を買って。ユダヤ人を撃って、僕が検問所を開ける」と口にすることもあるそうです。

パレスチナとイスラエルの紛争は、世代を超えて続いています。子供たちが戦闘員になりたいと言ったら?という質問に対し、シャイマさんもアルークさんも「もちろん子供の意志を尊重する」と答えました。

この紛争がもたらす悲劇は、あまりにも大きく、根深いものです。新生児たち、そして家族が1日も早く平和な暮らしを取り戻せるよう、心から願っています。