日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」が“超名作になる予感”。戦後と現代日本を重ねる重厚な物語


【写真】神木隆之介が1人2役。ホストと戦後の端島で生きる青年を演じる

 戦後の端島(軍艦島)を映像で再現したスケールの大きさから、映画のような重厚な質感の描写、2つのエピソードをカタルシスで締めくくったストーリーテリングまで含め、十分な見応えのある見事な第1話だった。

 秋ドラマとして間違いなくNo.1の出足であり、日曜劇場としても、長く語り継がれる名作になりそうだ。

 70年の時代を超えるヒューマンドラマを掲げる本作は、2018年夏の東京が舞台のひとつ。その日暮らしのホスト・玲央(神木隆之介)が、出会ったばかりの怪しげな年配女性・いづみ(宮本信子)から、突然プロポーズされるところから物語がはじまる。

 都合のいい太客に巡り会った玲央は、軽い気持ちでいづみの誘いに乗り、長崎を訪れフェリーで端島へ向かう。

 もうひとつの舞台は、1955年春の長崎県・端島。炭鉱員・一平(國村隼)の家の息子・鉄平(神木隆之介:1人2役)は、島外の大学を卒業後、島の炭鉱業を取り仕切る鷹羽鉱業の職員として端島に戻ってきた。同じ大学を卒業した幼なじみの賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)も一緒に帰島する。

 さらに鷹羽鉱業の職員で賢将の父・辰雄(沢村一樹)もまた、息子の就職先について思うところがある。

 そんななか、端島にやってきた謎の歌手・リナ(池田エライザ)が、騒動を引き起こす。

 第1話は、当時の端島の人々の日常がストーリーの中心になり、そのなかで現代の玲央といづみの生活ぶりが挟み込むように描かれた。

 本作が伝えようとするテーマは、第1話でも色濃く描かれていた。

 軍艦島と呼ばれる端島は、岩礁の周囲を埋め立てた南北約480メートル、東西約160メートルのコンクリート護岸に囲まれた島。1960年頃の島の最盛期には5000人ほどが暮らし、衣食住すべてが島にあった。

 島民はほぼ炭鉱の労働者とその家族たち。全国から集まった労働者が、狭い島の閉鎖的な社会のなかで生活していた。



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